予言者
彼は電車の中でシステ厶手帳に噴火を見に行く日取りと時間を書いた。それと、あの店の場所も記した。
「裕道。何してるの?」
彼の前に立ったのは、丸山瑠美だった。職場の先輩である。
「あっ!埼玉へ行った丸山さんが、どうしてこの電車に乗っているんですか?」
柿崎は慌てて手帳をバッグに仕舞うと立ち上がった。
「横浜に用事ができちゃったからよ。ねえ、何書いてたの?」
「来年の方針について書いていたんです」
「鬼を笑わせるために?」
そう云うと、瑠美は笑った。柿崎は瑠美が怒ると鬼のようだったことを思い出し、彼も笑った。
「簡潔に云うとそういうことになります」
「でも、あっと云う間にクリスマスとお正月ね」
「それと忘年会ですね」
「そうよね。去年は飲みすぎて失敗しちゃったのよねぇ」
「丸山さんは意外に飲めるんですね」
「意外だったでしょう」
「ビールにチューハイに日本酒まで飲んでましたね。驚いちゃった」