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予言者

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「知らないの?わたし知ってるよ」
「どこ?」
ミキナはコーヒーをカウンターに置き、出てきてから柿崎の前に運んだ。
「はい。おいしいよ」
 少女は静かに置いた。香りが違うと、柿崎は思う。
「……おっ!これはメチャうま」
 柿崎は感動した。凄いコーヒーだと思う。こんなコーヒーを出す店がこの規模であることが信じ難い。
「マスターは外国へ豆を探しに行ってるの。十箇国もまわって探したんだって。でも、次の年に同じおいしさの豆が手に入るかどうかわからないって……」
「今も探してるのかな?」
「今は、極上のステーキ肉を探してる」
「十箇国を旅して?」
「国産が一番だって」
「今夜、ここで食べさせてくれるのかな?」
「八時からのディナータイムにね」
「ワインにも拘泥るだろうね」
「それはもう……」
「ミキナはマスターの子供?」
作品名:予言者 作家名:マナーモード