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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・参】瞳水晶

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沙羅のが部屋に入ってすぐ背中から名前を呼ばれた迦楼羅が振り返った
「お前は…」
「沙汰ですっ!!」
廊下の欄干に足をかけてよじ登った沙汰が迦楼羅の元に駆け寄ってきた
「沙羅姉様は…書の時間ですか?」
沙羅の部屋の戸を見て沙汰が聞く
「そうらしいな」
迦楼羅が歩きながら答えた
「…なんだ?;」
しばらく並んで歩いていた迦楼羅が沙汰の視線が気になり足を止めた
「いえ!; …なんでもありません;」
沙汰が慌てて言う
「…沙汰…とやら」
迦楼羅が小さく沙汰を呼んだ
「はい!!;」
沙汰が姿勢を正して返事をした
「お前は【時】をどう思う?」
迦楼羅が聞くと沙汰がきょとんといた顔をした
「お前とその姉…実の姉の方は【時】に関わると話したのは…」
「覚えています!!」
沙汰が必要以上の声で迦楼羅の言葉を止めた
「…ワシはもしかしたらお前を手にかけるやも知れぬことも…お前の姉を手に…」
「それならば私がその前に貴方を手にかけます」
キッパリと言い切る形で沙紗の声がした

「沙紗姉様!!」
沙汰の顔がぱァッと明るくなった
「沙羅と沙汰を手にかけるというならば私が貴方を手にかけます」
ツカツカと大股で迦楼羅の横を通り過ぎた沙紗が沙汰を自分の背に隠した
「…しかし【時】が来れば…」
「ならば私は貴方からもその【時】からも沙羅と沙汰を守ります」
沙紗が迦楼羅を鋭い目つきで見ながら言った
「沙紗姉様…僕は…」
沙汰が沙紗の服を軽く引っ張った
「私の大切なものに害をなす…私は貴方が嫌いです」
沙紗が言う
「害を…と…言われてもワシはただ役目を…」
「黙りなさい」
迦楼羅の言葉を沙紗が切った
「理由はどうあれ私は貴方を歓迎しません天の使者様」
再び沙紗が迦楼羅に鋭く視線を向けた
「少しくらいワシの話を聞いたらどうだ娘!!;」
迦楼羅が怒鳴りながら沙紗の手を掴んだ
「ッ!? 私に触らないでくださいッ!!!」
「沙紗姉様ッ!!;」
「ぅおッ!!?;」
ガッと迦楼羅の服の襟首を掴んだ沙紗がそのまま迦楼羅を投げ飛ばすと迦楼羅が数メートル吹っ飛んだ
「迦楼羅様ッ!!;」
沙汰が投げ飛ばされた迦楼羅の元に駆け寄る
「言ったでしょう私は貴方が嫌いです、と…天の使者様」
服の裾を直しながら沙紗が言う
「迦楼羅だと…!!;」
沙汰の手を借りて起き上がった迦楼羅が言う
「もう一度言います私は貴方が嫌いなのです天の使者様。…沙汰食事の時間です」
迦楼羅を一瞥した沙紗が沙汰を見て少し優しい口調で言った
「今日は沙紗姉様が作ったんですか?」
沙汰が沙紗に聞くと沙紗がふっと微笑んで頷いた
「すぐ行きます!!」
沙汰が嬉しそうに言うと沙紗が小さく頷いた後背を向けて廊下を歩いていった

「…なんなんだあの娘は…ッ;」
迦楼羅が怒った口調で言う
「迦楼羅様…ごめんなさい; 沙紗姉様を怒らないで」
迦楼羅を支えて立たせながら沙汰が言った
「何故お前が謝る…まったく優しさの欠片もない娘だな…」
「それは違います迦楼羅様!!」
「だっ!!;」
迦楼羅がボソッと言った一言に沙汰が思い切り否定する一言を発すると共に迦楼羅を支えていた手を離した為 迦楼羅が再び倒れた
「あ…ごめんなさい; でも…沙紗姉様程優しい女性は僕は見たことがないです」
沙汰が再び迦楼羅を支えながら立たせた
「どこがだ;」
迦楼羅が言う
「全てです」
沙汰がキッパリ言った
「…迦楼羅様…僕は沙紗姉様を慕っています」
沙汰が少し顔を赤らめて言う
「自分の姉をか…?」
迦楼羅が聞くと沙汰が頷いた
「僕ももう数え13…15になったら一人前となれます。その時僕は沙紗姉様を娶りたいのです…姉といっても血は繋がってないですから」
沙汰が照れて頭を掻きながら言う
「…アレを娶るとなれば苦労すると思うがな…;」
迦楼羅が引きつった顔で言った