【第九回・参】瞳水晶
「…守らせろ…か」
京助がボソッと言った
「どうしたん? 竜のボン」
阿修羅が京助を見る
「いや…そういや緊那羅もしょっちゅう俺を守るとか言ってんなぁって…」
京助が言う
「ワシはもう役目などどうでも良かった…ただ沙紗を…」
迦楼羅が自分の両手を見てそれから両手を握った
「役目…」
京助が呟く
「大丈夫だ竜のボン」
阿修羅が京助の首に腕をかけて自分の体に寄せた
「緊那羅はちゃーんと自分の意思で竜のボン等の傍にいるんきに…役目じゃなしに」
阿修羅が言う
「だから…安心してさ」
笑いながら阿修羅が京助に言った
「…別に俺は;」
京助が阿修羅の腕を振り解いて言う
「オライもそうだし…」
阿修羅が迦楼羅を見た
「ワシもだ…」
迦楼羅が答えた
「京助…」
迦楼羅が京助をまっすぐ見た
「…ワシが沙紗に出来なかった…してやれなかったことをお前にはしてやりたい」
迦楼羅が言うと京助が止まった
「竜のボン?」
阿呆面のまま止まった京助の顔の前で阿修羅が手を振る
「…言っとくけど俺受けは拒否しますぜ;」
京助が言う
「…オイオイ;」
首をかしげる迦楼羅に変わって阿修羅が京助に突っ込んだ
「【時】は来た…そして決まった…」
迦楼羅が言った
「【時】…」
京助が時と繰り返す
「【時】に選ばれたのは…」
迦楼羅が静かに話し始めた
作品名:【第九回・参】瞳水晶 作家名:島原あゆむ