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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・参】瞳水晶

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「…なぁ京助…」
迦楼羅がボソッと言う
「…人を殺めた事はあるか?」
「…は?」
迦楼羅(かるら)が言うと京助が上半身のみを起こして疑問形の返事をした
「殺め…って…ないないない!!; ってかあったらタァイヘェンダァ~;」
京助がナイナイと手を振って答える
「もしそうなら俺ここにいねぇし;刑務所だし…網走」
あぐらをかいた京助が言う
「かるらん…もういいんでないかい?」
「ワシはあるのだ」
阿修羅が言うとそのすぐ後に迦楼羅が言った
「…な…マジで?」
少し間を置いて京助が言うと目を細め悲しそうな笑顔で迦楼羅が頷いた

「沙紗」
沙羅が香を焚いていた沙紗を呼んだ
「何ですか?」
香に火をつけた沙紗が沙羅を見た
「貴方は私にないものを全て持っている…」
沙羅が微笑みながら言った
「何ですかいきなり…」
沙紗が沙羅の隣に座る
「快活さ勇ましさ優しさ…」
沙羅がそう言った後軽く咳き込むと沙紗が沙羅の背中を優しくさする
「そんな貴方にだから迦楼羅様が惹かれたのですね」
沙紗の手がピタッと止まった
「何を…」
沙紗が驚いた顔で沙羅を見る
「何を言っているのですか沙羅…侍女たちも言っているでしょう? 貴方と迦楼羅は似合いだと…金色の髪と銀の髪…私は好きですよ?」
沙紗が沙羅の髪を触った
「どんなに他人に褒められようとも…当の方に言われなければそんなこと…意味を成さないでしょう?」
沙羅の声が小さく震えた
「迦楼羅様は貴方に惹かれている」
そう言いながら上がった沙羅の顔にはどことなく陰りがあった
「そんなことは…第一私は…」
「…貴方は抱きしめられたでしょう?」
沙紗の言葉を沙羅が止めた
「沙羅…あれは…」
「私は貴方になりたい…沙紗…どうして…」
沙紗が沙羅の肩に手を置いて言うと沙羅が顔を伏せた
「貴方が私じゃなかったの…?」
沙羅が嗚咽混じりに言った

「沙紗姉様」
泣き疲れた沙羅が眠った後沙紗が沙羅の部屋を出ると沙汰に呼び止められた
「沙汰…」
沙紗が何事もなかったかのように沙汰に微笑を向ける
「沙紗姉様は…僕が嫌いですか?」
沙汰が聞く
「…何を…嫌いなわけがないでしょう?」
沙紗が答えると沙汰が笑顔になった
「大切な弟ですもの」
沙汰の顔が沙紗のその言葉で曇った
「…弟ですか…」
沙汰が小さく呟いた
「どうしたんですかいきなりそんな…」
沙紗が聞く
「沙紗姉様…僕は貴方の弟でしかないのですか?」
沙汰が沙紗の手を掴んで言った
「沙汰…?」
「沙紗」
丁度沙紗の顎が沙汰の肩に乗るように抱きしめられ沙紗が目を見開く
「…慕っています沙紗」
沙汰が言った