【第九回・参】瞳水晶
「お前笛吹けたのか」
京助が言う
「あのな竜のボン緊那羅に笛教えたんのかるらんなんよ」
阿修羅が言った
「ほぉ~!! すっげー!!」
京助が感心した声を出した
「かるらん笛上手いんだ~!! 聞きたいな~」
悠助も言う
「すまんな…ワシはもう吹かんと決めたのだ」
迦楼羅が苦笑いで悠助の頭を撫でた
「そりゃ見事だったんよ~? かるらんの笛は…音楽に全然興味ないオライですらたまに聞きたくなるンきに」
阿修羅が言う
「聞きたい! 聞きたい~!!」
悠助が身を乗り出した迦楼羅に顔を近づけて言う
「コラ; 悠;」
京助が悠助を引っ張って自分の足の間に座らせた
「ひっとのいやがるこぉとぅは~…しちゃアカーン!!」
「キャー!!」
京助がそう言いながら悠助の脇腹をくすぐりだした
「あははははは!! きっ…きょぉすけやぁだ~!!!!;」
悠助が笑いながら暴れる
「仲良しさんだぁねぇ…うっし! オライも参戦!!」
「ギャ-----------!!;」
阿修羅が京助の脇腹をくすぐりだした
「ぎゃははははははは!!!!;」
京助と悠助の笑い声が混ざって庭先に響いた
「ヒ~…ヒ~…;」
仰向けになってヒクつきながら京助が荒く呼吸をしている
「疲れた~;」
その京助の腹のを枕にしている悠助もぐったりとしていた
「満足したか?」
迦楼羅が二人に聞く
「…ぉうよ;」
京助がゼヒュゼヒュをいう息と共に言った
「いや~笑ったら腹減ったんな~」
阿修羅が伸びをして言う
「お前は笑わせてただけだろがッ!!」
京助が怒鳴った
「あ、悠助見つけたッ!!」
慧喜が庭の垣根を飛び越えて着地する
「ゴメンね悠助…」
そして京助の腹枕で寝ていた悠助の頭を撫でた
「ううん~慧喜お手伝いもういいの?」
起き上がって悠助が聞く
「うん」
慧喜が満面の笑みで答えた
「僕のど渇いたから何か飲んでくる~」
「じゃ俺も行くっ」
悠助が立ち上がると慧喜もサンダルを脱いで家に上がった
「ついでに飯まだかってきいてこいや悠」
京助がまだ仰向けで寝たまま悠助に言った
「わかった~」
悠助が返事を残して慧喜と共に廊下に出て行った
作品名:【第九回・参】瞳水晶 作家名:島原あゆむ