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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・参】瞳水晶

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「それはなんという曲ですか?」
声をかけられて迦楼羅が振り向いた先にはゆっくりと迦楼羅の隣に歩いてきた沙紗
「コレという名はない」
迦楼羅が答えた
「貴方が作ったのですか?」
沙紗が聞く
「そうなるな」
迦楼羅が笛を下げた
「…好きですよ」
沙紗が言うと迦楼羅がバッと勢いよく沙紗を見た
「す…」
「私はその曲…好きです」
驚いた顔で何か言おうとした迦楼羅より先に沙紗が言う
「…曲…?」
気の抜けた顔で迦楼羅が言うと沙紗が頷いた
「そ…うか;」
迦楼羅が顔を背けながら言う
「…先日見せてくれた風景を思い出します」
沙紗が言った
「また見たいか?」
迦楼羅が嬉しそうに聞いた
「そうですね…機会があれば」
沙紗が微笑みながら言う
「言ったであろういつでも飛ぶと」
少し大きな声で迦楼羅が言った
「そしてお前が聞いたいならば吹く」
迦楼羅が笛を沙紗の前に差し出しながら言う
「どうしてですか」
沙紗が聞いた
「どうしてとは?」
迦楼羅が聞き返す
「何故私なのです?」
沙紗が再び聞くと迦楼羅が止まった
「私は貴方が嫌いだと散々言いました…それなのに何故沙羅ではなく私なのです? 貴方が言う【時】に何のかかわりもない…」
沙紗がまっすぐ迦楼羅を見て言う
「貴方の金色の髪と沙羅の青銀の髪…私は好きです」
「だからなんだというのだ」
沙紗が言うと迦楼羅が聞く
「…だから…」
沙紗が珍しく言葉をとめた
「ワシはお前の黒髪の方が綺麗だと思うがな」
迦楼羅の言葉に沙紗が顔を上げ迦楼羅を見た
「…あ…いや…;」
迦楼羅がどぎまぎしながら顔を背けるとしばらく沈黙が流れた
「…聞きたいです」
沙紗が小さく言った
「先程の曲…もう一度聞きたいです」
もう一度沙紗が言うと顔を背けたまま迦楼羅が笛に口をつけた