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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・参】瞳水晶

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しばし間を置いた後沙紗が言った
「…なんだ」
迦楼羅が何故か照れながら返事をする
「…呼んだだけです」
沙紗が言った
「そうか」
迦楼羅が嬉しそうに笑った
「…変な人ですね」
沙紗が苦笑いを向けた
「…もう戻りませんか?」
沙紗が迦楼羅に言う
「…もう少し…は駄目か?」
迦楼羅(かるら)が聞くと沙紗が少し黙った後 迦楼羅を見た
「…そうですね…」
そしてそう言って笑った


「…クサさ最高潮」
京助がボソッと言う
「いいなーいいなー!! 僕も飛びたい~!!」
悠助が言った
「飛べることはワシにとっては当たり前だったのだが…飛べないものにとっては新鮮なものなのだと…知ったのだ」
迦楼羅が言う
「そりゃ…そうだろうな未体験ゾーンだしなぁ…」
京助が迦楼羅を見て言うと迦楼羅が立ち上がり庭に下りた
「お前だってコッチに来て結構初めてってあっただろ?竜田揚げとかさ」
京助が言う
「そうだな…」
迦楼羅が背を向けたまま言った
「かるらん…まだ話すのけ?」
阿修羅が聞く
「…辛いんだろが…だって嬢は…」
「阿修羅」
阿修羅の言葉を迦楼羅が止めた
「…【沙紗】はもういないのだ」
しばし間を置いて迦楼羅(かるら)が小さく言った
「どんなに想っても手を伸ばしても届かないのだ…【沙紗】には…な」
【安くておいしいマルチの豆腐】の宣伝車からのチャルメラが遠くから聞こえた
「だからワシは話すのだ…京助とその弟…竜の子」
迦楼羅(かるら)が振り向いた
「いくつもの今までにない【モノゴト】が重なりし今までにない【時】の【鍵】となる確率がある…お前達に…今までの【時】がどんなものだったかということを」
少し肌に冷たい秋風が落ち始めた庭木の葉を散らかす
「…俺難しいことは頭に入れたくねぇんだけど;」
京助が口の端を上げて言う
「阿修羅…お前も知っている事は話しておくことだ」
迦楼羅に言われた阿修羅が目を見開いた
「かるらん…そりゃ…」
「ワシが知らなかったとでも思っていたのか!! このたわけッ!!」
迦楼羅が怒鳴った
「何? 何の話してるの~?」
悠助が阿修羅の頭のミョンミョンを引っ張る
「お前達の父親…【竜】のことだ」
迦楼羅が言った
「お父さん…?」
悠助が迦楼羅を見ると迦楼羅が頷いた
「…阿修羅お前…」
京助が阿修羅を見た
「…今回はオライは話さんぜよ…? 竜との約束なんでさ…スマンな竜のボン…」
阿修羅が苦笑いで京助を見て悠助を撫でる
「いつかきっと…話すきに…今はまだ…」
そこか悲しそうな笑い方をして阿修羅が言った
「約束だよ? あっくんにいちゃん」
撫でられながら悠助が言う
「おうさ!」
阿修羅がグリグリと悠助を撫で回した