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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・参】瞳水晶

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「沙羅姉様」
薄い上着を羽織った沙羅が庭に降りてきた
「大丈夫なのですか沙羅…そんな上着一枚羽織っただけでは寒くは…」
沙紗が沙羅に駆け寄って聞く
「大丈夫ですよ本当に心配性なんだから…」
沙羅がふふっと笑って言った
「ごめんなさいね沙汰…沙紗と二人で見ていたのにお邪魔してしまって」
沙汰の方を見た沙羅が言う
「いえ!; 別に僕はッ!;」
沙汰が両手を前に出してブンブン振りながら言った
「でも…本当綺麗…」
沙羅が夜空を見上げると沙汰と沙紗も一緒になって見上げた
「僕が空を飛べたなら星を一つ姉様達にとってあげられるのですけど」
沙汰が呟いた
「ありがとうございます沙汰」
沙紗が沙汰の言葉を聞いて微笑んだ

「空か」
声がして三人が振り返った
「迦楼羅様」
沙汰が廊下から声をかけてきた迦楼羅を見て言った
「空を飛びたいのか?」
迦楼羅が聞く
「あ…いや飛べたらナァって話ですよ」
沙汰が笑って言う
「飛べたならもっと近く…綺麗に見えるのでしょうね…」
沙紗が目を細めて空を見て言った
「沙紗」
庭に下りてきた迦楼羅が沙紗に手を差し出せといわんばかりに自分の手のひらを見せた
「…何ですか?」
沙紗が手のひらを見た後 迦楼羅を見た
「沙汰…沙羅を支えていろ」
迦楼羅が沙汰を見て言う
「え? あ…はい;」
沙汰が沙羅の隣に駆け寄った
「早く手を乗せんか!! たわけッ!」
中々手を出さない沙紗に向かって迦楼羅が怒鳴ると無理矢理沙紗の手を掴んだ
「何…ッ!!;」
沙紗が驚いて手を払おうとすると強風が巻き起こった
「きゃぁ;」
沙羅が小さく悲鳴を上げて沙汰の体につかまった
「うわっ;」
沙汰の小さく声をあげ足を踏ん張って沙羅をかばう

「目を開けなければ見えないではないか」
迦楼羅の声がすぐ傍で聞こえ沙紗が恐る恐る目を開けた
最初に沙紗の視界に入ったのは迦楼羅の横顔
そして次に目に入ったのは目の高さにある小さく光る無数の星
「どうだ?」
迦楼羅に聞かれてはっとした沙紗が下を見た
「ひッ;」
そしてしゃっくりの様な声を上げると迦楼羅にしがみつく
「落としはしないから目を開けんか;」
迦楼羅に言われて沙紗が再びゆっくり目を開ける
「…綺麗…ですね…」
しばらくして沙紗が呟いた
「そうか」
迦楼羅が嬉しそうに言う
「街明かりも星明りも…凄く綺麗…」
さっきは怖がっていた下の景色を見て沙紗が微笑んだ
「そして貴方の羽根も」
沙紗が笑んだまま迦楼羅を見て言うと迦楼羅が止まった
「…な…;」
そして急激に焦りだす
「ありがとうございます」
沙紗が言う
「…お前が…」
迦楼羅が小さく口を開いた
「…お前が望むならいつでも何度でも…飛んでも構わん…」
顔を背けながら迦楼羅がぼそぼそと言う
「だからワシの名前を呼べ」
ソレまでの小さな声と比べてはっきり聞き取れる大きさの声で迦楼羅が言った
「…名前を?」
沙紗が首をかしげる
「そうだっ!!」
迦楼羅が何故か声を張り上げた
「…用もないのにですか?」
沙紗が聞く
「そうだと言っているだろう!!;」
迦楼羅が怒鳴った

「…迦楼羅(かるら)」