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ピュワ・アイズ(人気女優殺人事件)

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その時の情景が浮かぶ。
美香と香苗は楽屋で会っていた。
「お久しぶりね。演劇部の再会ね。懐かしいわ。」
香苗は黙っていた。香苗にとって美香は過去の嫌な記憶でしかない。
「さすが演劇部ね。優勝した時が懐かしいね。それでこの道に入ったの?」
美香に優越感を感じた。美香は主演、香苗はただの舞台スタッフだ。同じ道と言われることにどれほどの屈辱感があったか!
「これから、ロングラン公演になるけど、お世話の方よろしくねっ!」
たった一度の事故で全ては決まった。事故?犯行だ!そう思った。
(天誅を下してやる!)
私は初めて過去を葬り去ることを決意した。
それから頻繁に変質者による事件をでっち上げた。そして今日の楽屋の事件だ。
「楽屋荒らしはあんたの仕業でしょう!すぐに座長に報告する!」
美香は息巻いていたわ。ふっ、ロケ隊の去った後でそんなやり取りあったのは知らないでしょ?
「あたすは、かわりに座長には全国高校コンクールの事、報告するから!」
今度は香苗が反撃した。
「ば、バカ言ってんじゃないわよ。あんなもの事故よ。」
「証拠があるわ・・・」
美香は動揺している。香苗は優位に立った。
「証拠?」
「そう、あのときのヒール持っているから、それ見てもらうの。」
「おかしなことを!いまさら高校の時の話蒸し返してなんになるの!」
「少なくとも本当の主役は私で、切り込みのあるヒールでけがをしたとなれば、もう一度考え直してくれるかもしれない。」
「・・・バカなことさせないわ!」
主導権を握り、動揺する美香は簡単に動かせた。
「といっても、あたしも過去の事でゆするのもばかばかしいし、過去の事を引きずる気もないわ。どう?あたしのヒールで水に流すのは。あたしも悪ふざけが過ぎたわ。引き渡しは本番中、そうね、レナードの企みのシーンの時間がいいわ。」
「なんでよ!今渡しなさいよ!」
「バカね!全く人の目が無い方がいいにきまっているじゃない!」

現在に戻った
「そう言ったら例のワイヤーアクションのポイントにのこのこ出てきたんですもの。あたしの方が呆れたわ。あとは後ろから殴りつけ、首を絞めたってわけ・・・。」
皆静まり返った。
「逆恨みとは軽い言い方ね。そもそも名演技とはお笑いよ!」
奈菜は皮肉った。演技をバカにされたと思い香苗は激こうした。
「なんてことを!あの事件を美香が起こさなければ、あの子の場所に私が立っていた筈なのよ!」