ピュワ・アイズ(人気女優殺人事件)
「でもね、あの子の場所は才能だけでは上りつめれないの!あの子がやったことは悪いことよ!でもね、運も実力のうちというのがこの世界なの。実際あなたは主演になることは永久に失われたじゃない・・・」
奈菜ならではのコメントで締めくくった。これを聞いた香苗は糸の張りが切れたかのように泣いて紅刑事に逮捕された。
「あなた・・・」
紅刑事が香苗に手錠をかけながら喋った。
「よく調べ上げたわね・・・今回はお手柄と言っておこうかしら・・・」
と言って舞台を後にした。
サンセットテレビに帰るとジョニーが騒いでいた。
「あの楠美香が殺され、七瀬レポーターが警察を出し抜いたですって?」
あの濃いキャラが吠えると更に迫力がある。
「ええ、全てカメラにとってあるっす!」
米ちゃんが報告を続けた。
「困ったわね。番組編成が・・・」
ハプニング過ぎて別の番組になってしまう。そこに宗像が口をはさんだ。
(ひぇ~。いつの間にか来てる!)
さっきいなかった宗像がスタジオに入っていた。この場合チーフ・ディレクターの宗像は決定権者の一人だ。
「プロデューサー。悩むことないんじゃないの?素直に放送すれば・・・」
ジョニーが別の番組になるのを困ると言っていると、ほかのスタッフは思っていた。
「これは視聴率が取れるわ!特番よ!ゴールデンニ時間ぶちぬき拡大版を至急編成部長に承諾しなきゃ!スクープよ!」
るんるん、ジョニーは鼻歌交じりに行ってしまった。
「本当に分かりやすいプロデューサーだな・・・」
智美が呆れていた。
「でも、デビューは最高じゃん!最高の謎ときだったし。お手柄!」
智美の褒め言葉についつい心がうきうきした。でもあいつはどうなんだろ?宗像だ。
(やだっ!なんでチーフの事気になるんだろ?)
自分でもどぎまぎした。その宗像が寄ってきた。いつものように無表情だ。
「浮かれまくってバカじゃねェの?」
この言葉に奈菜は頭きた。しかし、
「本番はこれからだ。大した仕事だった・・・」
彼なりの褒め言葉だった。思わずやったーっ!と叫びたくなる奈菜だった。
作品名:ピュワ・アイズ(人気女優殺人事件) 作家名:藤居