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ピュワ・アイズ(人気女優殺人事件)

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何のことだ?一同意味がわからなかった。
「ウチのレポーターは鼻がいいんでね。気をつけないと・・・カメラ回ってるよ!」
紅刑事が傍目でためらったのが分かった。力で抑えれば映像を流すということだ。
「捜査に自信あるなら、こいつの推理聞くだけ聞いてもいいんじゃないの?それからでも・・・」
宗像の言葉はキレがあった。紅刑事を真っ二つに切った。
「分かったわ。ただし、今でも若狭大空さんが一番聞きたいことがあると言っておくわ。」
ようやく紅刑事は引いた。それを一番ほっとしたのは若狭だが、奈菜は厳しい目をしていた。

奈菜は深呼吸し、一同を見た。
「今回の殺人事件は公演中に、しかも遺体をワイヤーアクションで派手に登場させるという、非常に悪質な事件です。被害者に対してかなりの怨恨を感じます。」
奈菜は推理を披露し始めた。カメラは回っている。
「事件を整理するため楽屋荒らしを第一の犯行、楠美香殺人事件を第二の犯行とします。一見別の事件のようですが第一の犯行は次の犯行の布石になってます。第二の犯行のトリックは第一の犯行が不可欠だったのです。」
奈菜の推理の組み立てはなかなかのものだ。さすがレポーター。一同思った。
「第二の犯行で問題となったのは、殺害の時間です。舞台が暗転し、ワイヤーで遺体が現れるまでの5、6分しかないと思われました。何故ですか?」
「なぜって・・・そりゃ、美香が生きてたからだろう。」
奈菜の問いに蒲生が答えた。
「では、なぜ生きているって言えるんです?」
皆驚いた。死体が演技するわけはない。
「だって、あの演技は彼女しかできないよ。」
今度は座長の本庄が答えた。
「無言の演技は確かに高度です。しかし、彼女が殺害されるのは不可能だった。座長!暗転した舞台から退場する方向はどちらですか?」
「この劇場では必ず正面右から左だ・・・!そうか!」
「そうです。彼女は左に退場し、ワイヤーアクションは右から出てくるのです。不可能じゃありませんか?」
「時間的に無理だよな・・・」
皆のつぶやく声で紅刑事の唇が歪む。
「しかし、我々の見た彼女は美香そのものだった。仮面をかぶっていると言っても演技力は彼女そのものだ。誰というのだ。」
「そうですね。彼女の代役ができる者が居るとすれば、どうなります?」
「そうすれば犯行時間がかわる可能性があるわ・・・」
智美が相槌をうった。
「座長としてはっきり伝えたい。」
改まって本庄が発言した。