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真実を纏う蝶

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愛「同じく学芸員の小浜愛ですわ。何かあったら協力しましょう。」
妙に食い付きが良い。三沢は爽やかで裏がなさそうなキャラだ。
二人は絵の修復をしているようだ。
蟻塚「今何をしてるんです?」
三沢「ああ、絵の修復をしているんです。文化財の保存作業も俺たちの仕事っす。地味ッスけど。やけ、ほこり、やぶれ、毎日メンテナンスっす。」
三沢は飽きている感じだが、愛の方は
愛「愚痴が多いのよ。三沢君は。私は絵が生き返るようで楽しい・・・」
蟻塚は愛に感心していたが、隅に並んだキャンバスの数を見て驚いた。
蟻塚「でも、すごい数ですな。目が回りそうだ。これは一月位の仕事ですか」
愛「御冗談でしょ。一週間分ですよ。この美術館の収蔵は七千点です。少ない方ですよ。」
蟻塚はただぽかんとするだけだった。
あげは「ところで、予告状のこと知ってるんですか?」
あげはと事務長の長沢が、いつの間にか作業場に入ってきていた。長沢は紳士という感じの上品な雰囲気がある。ひげを蓄え優しそうなおじさんだ。
長沢「円山等伯の絵に直接貼られていたのだよ。だから、今日だけは館内の雰囲気がピリピリしている。」
長沢「今日は仕事にならんね。」
画を愛でながらぼやく。
三沢「円山等伯の絵は文化的に重要だから、盗まれでもしたら大変っす。」
長沢「その通りだ。その怪盗何とかって、大胆というか。では失礼。我々は特別展示室に向うので宜しく。」
あげは「わたしたちも一緒に行きます。」
蟻塚「まあ、関係者からは情報を聞き出したいからな。話してくれるなら、それでいいんじゃないか?」
愛「実はあたし、円山等伯にはあんまり興味ないんだけど。私の感性にはピピッとこないな。」
愛がだるそうにいうと、いままでニコニコとしていた三沢の表情が変わった。
三沢「それは、おまえの感性が錆びついてるからだよ!」
豹変ぶりに一同注目!三沢もそれに気づく。
三沢「いやだな!それだけ魅力があるってことだよ。」
蟻塚は意外な人間像に気をまわしたのか、退室を催促。
蟻塚「事情はこのへんでおしまいにしよう。皆さん、ご協力ありがとうございました。」
あげはは陰湿な目で三沢を見つめる長沢の目が気になった。
あげは(すごい目だ・・・なんで?)
長沢もあげはの視線に気づく。気まずそうに、
長沢「三沢君!そう言わんと、刑事さんに警備を任せようか。」
作品名:真実を纏う蝶 作家名:藤居