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真実を纏う蝶

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場所 現代アートセンター玄関
二人は吹き抜けのエントランスホールに入る、壁は一つのアート作品に仕上がっている。
玄関中央に一人たたずむ男性が居た。年は四十くらいで、眼鏡をかけ落ち着きのある男性だ。スーツをパリッと着る固そうな男性。上を向いて考え事をしているように見える。
こちらに気付いたのか振り向いてきた。
長沢「……、これは刑事さん!」
驚きをつくろいうように話しかけてきた。
蟻塚「警部の蟻塚です。この若い女性はオブザーバーの紋代さんだ。」
場違いなブレザーにじろじろ見る長沢。
長沢「警察にオブザーバーねぇ・・・」
あげは「お手伝いです!」
元気に答えるが、長沢はまだ納得しない顔。
長沢「長沢です。当美術館にようこそ!」
長沢はファイルを幾つも重ねて腕に挟んでいる。目が鋭く堅そうな人。
あげは「なにを考えてたんですか?」
長沢「いや、私は芸術を見るのが好きなんだ。一人で眺めると落ち着ける気がして。」
会話に蟻塚が割り込んで、尋ねる。
蟻塚「そこの君、予告状にあった円山等伯の絵はどこにあるか教えてくれ。」
長沢「ここのニ階にある特別展示室だ。」
二人は礼。
あげは(美術館の人ってこんな感じかしら・・・)

場所 現代アートセンター ニ階特別展示室

広い展示スペースの壁に大小の油絵。そこに二人の警官が立つ絵があった。数本のポールと金色のモールに仕切られたスペースで、絵には「円山等伯」作「湖畔の少女」と説明。湖畔に浮かぶ船から足をおろして涼む少女の絵
じろじろ絵に食い入るあげは
あげは(きれいは分かるけど、私ってセンスないから・・)
いまいち分からず頭をかくあげは。そこへ大柄な人影。驚くあげは。
真田「いい絵でしょ?」
どきどきするあげは
あげは(だれ?この人)
真田「この周辺には美術館が多いのですよ。学生さん?」
あげは「失礼します。高校生探偵の紋代あげはです。」
蟻塚は驚いた顔をする。
作品名:真実を纏う蝶 作家名:藤居