真実を纏う蝶
あげは「ところで蟻塚さん、本部長でしょ?」
怪訝な蟻塚。
蟻塚「それが?」
あげは「私を加えてください!どうしても父の追っていた怪盗『ミスター・シーフ』を見たいの!」
驚く蟻塚だが、しばらく考え
蟻塚「知っての通り、警察の警備では部外者は捜査で問題になる。しかし・・・」
蟻塚「いいだろう。警備と無関係なオブザーバーとして来てもらうか。断っては君のお父さんに申し訳ない。」
二人をのせたパトカーは現場に向った。
大きな白い邸宅
なぜか大きな鏡に向かう萱場。後ろには衣装が吊られている。
「ふふふ・・・」
鏡をのぞきこみ頬に顔に似合わない華奢な手を添える。
「じっちゃん、あんたの魂、俺が取り戻してくるぜ・・・」
と言って向こうのポスターを見る。「夏の箱根近代美術展」のポスターには「円山等伯特別展示会」の文字が。
箱根風景。芦ノ湖沿いの道路をパトカーがいく。
こじんまりとコテージが点在する静かな山間
蟻塚「もうすぐ、現代アートセンターに着くよ。駐車場から少し歩くけど道に迷う事はないから大丈夫。」
あげは「モダンな雰囲気が感じられる、中に入るの楽しみね。」
駐車場に入って車を降りた二人は豪邸の様な広い庭の玄関にたどり着いた。
場所 現代アートセンター前の庭園
規模は全国屈指の美術館だ。レンガ造り風の壁に大きなガラス屋根が特徴の
現代的な建造物がそびえたっている。
あげは「あっはー、立派な建物ね・・・これなら警備上、安全だと思うけど。」
蟻塚「この美術館から絵を盗めたらミスター・シーフは化け物って言われるなぁ、多分。」
あげは「さっそく中に入って、円山等伯が描いた絵を見てみよう!」
蟻塚「とにかく広い。今日までに描かれた最新の芸術は全てここに集まったと言われているから、将来が期待されていますよ。」
シンメトリーが取りいれられて建築された本館の玄関に向ってゆっくり歩き出す。