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真実を纏う蝶

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あげは「あなたが壁紙を張っているところを見ましたよ。犯行当時もっていた、あの壁紙をね。」
近くの壁に手を置いたアゲハ。出っ張ったところを指でなぞって言う。
あげは「ここ出っ張ってますね。ここに隠したんじゃありませんか?」
真田「いいよ、はがして・・・」
もう皆が分かっていた。壁紙をひきはがす。確かにある、円山等伯の贋作が。ポスターのように一枚絵になった物だ。
あげは「あなたは、丸めた壁紙の束に円山等伯の絵を紛れ込ませてこっそり隠した。そしてここに壁紙の奥に貼りこんだ。なによりの証拠じゃないかしら?」
三沢「俺は怪盗なんかじゃない。何もやってないんだ!」
あげは「本物の怪盗の仕業なら展示物に予告状なんて貼らないでしょうね。そもそも絵に触れるのは学芸員とか限られたスタッフしかいないの。」
あげは「これら一連の動きは、犯行当時に絵の傍らにいたあなたにしかできないトリックだわ。違いますか、三沢さん?」
みるみる顔色が変わっていく三沢
あげは「それに一連の贋作はあなたが描いたのでしょ?これだけの腕がありながら・・・」
三沢「ここまでばれたらしょうがない・・・俺がやったんだ・・・全て事実だよ。」
あげは「動機は今までの発言から円山等伯の絵に深く執着していたから、でしょうね。」
あげは「三沢さんはあの絵を最高の芸術といってたそうだけど、あなた自身が絵に一目惚れしてしまって、恋しくなったんじゃないかしら。でも、その思いが歪んだんじゃないのかしら?」
立ち上がる三沢、誇らしげに大きく手を広げて叫び出した。
三沢「俺は円山等伯の画風が好きだったし、この美術館で最初に好きになったのもあの絵だった。」
三沢「心を奪われたように俺は、怪盗の名を語って盗みだそうと考えた・・・」
三沢「抱きしめたいな!この思い、まさしく愛だ!!」
蟻塚「なにも盗まなくてもよかっただろう?おかげで事件にまで発展した。」
三沢「俺の恋は誰にも分かるまい、俺はずっとそばにいたかったんだよ、あいつのそばに!そこで怪盗・ミスター・シーフってのがこの円山等伯の絵ばかり盗んでいることを聞いた。ちょうどいいと思った。」
あげは「おなじ絵に魂を奪われた恋敵に罪をなすりようとしたのね」
三沢「へへへ、何でも分かるんだ。計算外だったな。」
あげは「絵の中の人物に恋することもあるわ。それで犯罪に手を染めてもおかしくないかも。」
あげは「でも人に罪をなすりつけるのは、人間として最低じゃないのかしら。絵の少女もそうおもっているんじゃない?」
作品名:真実を纏う蝶 作家名:藤居