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女性タクシードライバー

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「この暑いのに、そんなことしてらんねえよ」
「今日も暑いですよね!」
 走り出して二十分くらいたっただろうか、渋滞もなく気持ちがいい。もうちょっとで目的地だ。
「よう、ねえちゃんさあ、料金上がってないぜ」
(エッ、ウッソー!)
「とっとっと、そこだよそこ、そこでいいや」
 実車ボタンを押してから、三百メートルも走らないうちに、目的地のビルの前に到着した。メーターに表示されているのは初乗りの七百十円である。
「おい、結局いくらなのよ」
 男性客に突っ込まれるが、メーターは押したばかりなので七百十円である。
「あのう……七百十円です」
 れいかは落ち込み、おどおどしている。
「メチャ安だけどさあ、いつも二千円以上なのに、今日だけ七百十円てぇのも不自然なんだよ。それなりのレシート出してくんないとさあ」
 でも、印字のものは、冷たくも七百十円のものしか出ない。