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Minimum Bout Act.02

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 キッチンで適当に卵やベーコンを焼いて、先ほどルーズがかじっていたフランスパンの残りにオリーブオイルを軽くかけて塩を振ると火で炙る。
 出来上がった料理を皿に乗せ、ルーズの向かいのソファーに腰を降ろすと、ブルースから受け取ったCDをルーズの前に差し出した。
「戻って来る途中にブルースからもらった」
「新しい依頼?」
 CDを手にとって食後の紅茶をすするルーズがチラリとシンを見る。
 無言で食べ進めるシンの様子に、ルーズはノート型端末にCDを入れて再生した。
「随分映像が汚いわね」
「リドヒムからの依頼らしいが、情勢が不安定だからちゃんと録画出来なかったんだろ」
「一時期は落ち着いていたのに。半年前の戦闘以来、また不安定なのね。あ、映った」
 映し出される映像は不鮮明で、かなりノイズが走っていた。耳障りな雑音の隙間に、13、4歳くらいの男の子の姿が映し出される。
『……が……どうしても、会いたい人、いるんだ……ヘイズ……シン……』
 ピクリと手を止め、ルーズとシンは同時に顔を見合わせた。
 少年は続ける。
『ーーーたいんだ……だから、シンに会って……たいーーー』
 苦し気な表情でそう言う少年の手に、自動小銃が握られている事にルーズは気付いた。遠くで銃声のような音も微かに聞こえている。
『て、る……シン。会いに来てーーーくは、チェイスJr.。父さんは、死んだ……探して欲しい。ヘイズ……』
 ガタン!
 急にシンが立ち上がり、じいっと画面の少年を凝視した。そしてすぐにくるりと身を翻し、階段へと向かう。
「ちょっと、どこ行くの?」
「ーーー今回の仕事はオレ1人で行く」
 いつになく険しい表情のシンに、ルーズは嫌な予感を覚える。
「1人でなんて行かせられないわ。この男の子が言っているシンって、あなたの事なの? ヘイズって何? あなた確かリドヒム出身よね?」
「チェイスが死んだって……オレの所為だ……だから、オレが行かなきゃ」
「シンっ!?」
 そう言い残し、シンはすごい勢いで階段を駆け上がって行った。ルーズは慌ててシンを追いかけようとしたが、先ほど再生していたCDから大きな爆発音と叫び声が聞こえて来て足を止める。
 すぐに画面の前に戻り、巻き戻した。
作品名:Minimum Bout Act.02 作家名:迫タイラ