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Minimum Bout Act.02

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 どうすれば人を簡単に殺せるか、ありとあらゆる武器の扱い方を叩き込まれ、戦術を学んだ。
 戦場では狙撃手をしていたシンは“ヘイズのシン”と渾名を付けられていた。まるで霧のようにいつの間にか現れ、敵を狙撃して去って行く事からそう呼ばれていたらしい。
 その家族もシンが15歳の時、戦争とは関係の無い、交通事故で全員死んでしまった。もう軍にいる理由は無かったが、出て行った所で行く場所など無いシンは、軍に身を起き続けた。
 そんな事がいつしか引き金を引く事に無感情になりつつあったシンは、自分を見失いそうで怖かった。
「ふう……」
 リドヒムへは軍を去ってからのこの6年、一度も訪れていなかったのだが、今回は仕事だからそうも行かないだろう。
 最近のリドヒムは戦争の行なわれている地域が限定されていて、以前よりは幾分戦地が縮小されているらしい。この5年でどれほど姿を変えたのか、少しだけ様子を知りたいような気もした。
 深いため息を吐き出すと、丁度下町の一番外れにあるMBの住処である廃ビルが見えて来た。
 いつ見てもみすぼらしくて、自分たちに良く似合う。瓦礫と呼んでも遜色のない入り口に体を滑り込ませ、シンは階段をゆっくりと降りて行った。





 ****





 カッツはまだ寝ているらしく、リビング……と勝手に言っている中央の部屋のソファーにはルーズが1人で座っていて、美味しそうな朝食を食べていた。
「お帰り。お酒に付き合わされたんですってね、ご苦労様……あ、何か食べる?」
 シンが階段を降りて来ると、そちらを振り返って声を掛ける。
「いや、自分でやる」
「ふうん。珍しい」
 硬そうなフランスパンをがぶりとかみちぎりながら、ルーズはシンを見て微笑んだ。
 いつもやろうと思うより先にルーズがしてくれるおかげで料理当番をする事が少なくなったが、元々カッツと2人しかいなかったのだ。シンもそれなりに料理は作れる。それに、特殊部隊に所属していたおかげで生きる為に何でも食べて来たシンは好き嫌いがないし、カッツに至ってはその辺に生えている雑草や木の根っこを食べても腹を壊さない程頑丈に出来ている為、ご馳走などなくてもいつも満足出来る、素晴らしい腹具合をしている。
作品名:Minimum Bout Act.02 作家名:迫タイラ