Minimum Bout Act.02
しかし、反政府軍に大きな資金と物資を提供し続けていたplainの動きが急激に止まり、ここ最近の反政府軍側の疲弊度は凄まじかった。これはおかしいとすぐに幹部が動いたのだが、リドヒムを出た幹部数名はいまだ戻って来ないのだと言う。
「……もうこのままじゃあたしらは全滅だよ。この星をより良くしようと30数年前に立ち上がった、最初はたった10名ほどしかいなかった仲間も、気付けば政府軍と対等にやり合うくらいにまで大きくなったってのに……どうして組織はあたし達を見限ったんだい? 悔しいよ……」
まるで歯ぎしりでもするようにパメラが言う。何も答える事が出来なかったシンはゆっくりと病室を出、ずっと通信を切っていたインカムに手を伸ばした。
一呼吸置くとスイッチを入れる。
「……ルーズ、オレだ」
『シン? ちょっと、あなた大丈夫なの?』
「ああ。ところで、お前達リドヒムに来てるんだろ?」
『私は政府軍側の基地の近くにいるけど、カッツがそっちに向かってるはずよ。何?』
「調べてもらいたい事がある」
『分かってる。リドヒム政府と組織の事でしょ? 何故チェイス隊と反政府軍をだまし討ちして、反政府軍に物資を流さなくなったのか』
「知ってるのか?」
『知ってるというか、分からない事だらけだけど、取りあえず組織はもう反政府軍は用無しになったから、政府側と組んで一掃するつもりみたいね』
ルーズの言葉にシンはため息を吐いた。
「いつ総攻撃をしてくるか分かるか?」
『作戦の実行計画は立ててるけど、時期はまだ未定のようね。私の予想では、この1、2か月中だと思う……シン、あなたまさか、反政府軍の人たちをなんとかしようって思ってるの?』
「悪いか?」
『いや……別に悪くもないし止めもしないけど、あなたも狙われてるかもしれないのよ?』
「それは……」
その時だった、突然向かい側のドアが勢いよく開き……いや、外れ、先ほどシンをここまで案内して来たウェイとカッツが入って来た。
「か、カッツ?」
『え? カッツ? 無事合流したのね、良かった。じゃあ待ってるから、早く戻って来なさいよ』
「あっ、おい!」
「いよう、シン! 元気そうでなによりだ。んで? チェイスの息子はどこだ?」
「痛ぇっ!! いい加減放せよっ!」
呑気に笑顔で挨拶をするカッツの前で、まだ腕を後ろ手にされたままのウェイが怒鳴る。
作品名:Minimum Bout Act.02 作家名:迫タイラ