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Minimum Bout Act.02

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『待って、チェイスJr.の事だけど、もしかしたら政府の企みに気付いて反政府軍側に寝返ったんじゃないかしら。シンを呼んだのは、政府と組織の繋がりや反政府軍が全滅させられるのを知らせる為かもしれない。ジャイロ少将は生き残ったチェイスJr.を探して会いに来たシンに、2人を会わせて、殺し合いをさせるためにわざと焚き付けるような事を言ったのかも知れない』
「は! んで、ついでに俺達も始末しようってか? 何故?」
『ーーーそれは、分からないけど……』
 ただの人探し屋であるカッツ達を殺した所で、リドヒム政府側には何のメリットもない。もしルーズの推測が正しいとしても、カッツ達に戦争をやめさせる力などないのだ。
 カッツのかつての仲間であったチェイスを殺したのも同じかつての仲間で、そのやるせない憤りをどこへぶつけたらいいのか、カッツには皆目分からなかった。
 とにかく今はシンとチェイスJr.に会わなくてはいけない。
「派手にやり合わずに済めばそれでいいか……まあ、取りあえずジャイロに気付かれんな。切るぞ」
 そう呟き、カッツは物陰から出て行った。
「誰だっ!?」
 銃を向けたのは先ほどシンを連れて行ったウェイだった。どうやらこの辺り一体が彼の持ち場らしい。
「おおっと、撃つなよ。俺はカッツ。チェイスJr.に会いたい……ついでにそのチェイスJr.に会いに来たシンって男にも会いたいんだが」
「ーーー今日はやけに客が多いんだな。生憎だが、Jr.が会いたいのはヘイズのシンだけだ。あんたみたいな強そうなヤツまで連れて行く訳にはいかないな……」
 カチャリと銃を構えたウェイに、カッツははあ、とため息を吐く。
「しゃーねーな」
 項垂れたと思った瞬間だった。カッツは足元に転がっていた石と砂をウェイ目がけて力いっぱい蹴り、それと同時に低く屈んで突進し、ウェイの手首を下から突き上げた。
「うわっ!?」
 石と砂を顔面に浴び、怯んだ所へ今度は強烈な掌底を受け、ウェイは思わず銃を落としてしまった。
「ぐっ!」
 直ぐさまカッツはウェイの後ろに回り込み、手首を捻って簡単に押さえつける。
「悪いな。俺は馬鹿力だから加減が上手く出来ねえんだ。あんたらを殺すつもりはないし、喧嘩をしに来た訳でもないからさ、良かったらシンがいる所まで案内してくんない?」
「いたたた! そ、それが人にものを頼む態度かよっ!?」
作品名:Minimum Bout Act.02 作家名:迫タイラ