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Minimum Bout Act.02

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「いや、元だ……チェイスJr.が、MBという人探し屋にシンを探して欲しいという依頼をしてきたんだ」
「じゃあ、人探し屋さん?」
 薄暗い室内にはベッドがいくつか置いてあり、薬品の匂いがした。
 その中をゆっくり歩きながら、パメラは至って静かな口調でシンと会話を続ける。特別シンに対して警戒心を持ってるわけではないようだ。
「ああ」
「なのに何で縛られてるんだい? ほら、切ってやるから後ろ向きな」
 そして壁際にある棚の中からナイフを取り出し、シンの縄を切ってくれた。
「すまない」 
「いいんだよ。もし急にあんたが暴れたら、遠慮なく思いっきり蹴るからね。ほら、こっちだよ」
 壁際にはまたドアがあり、パメラは静かにノックをした。そしてドアを開けてシンを促す。
「こ、これは……」
 シンは驚いた。狭い部屋の奥には簡易ベッドがあり、そこには全身を包帯で巻かれた少年が横たわっていたのだ。
「静かにしておくれよ」
「まさかーーー」
「彼がチェイスJr.。2週間位前に爆撃を受けて、怪我をしたのさ」
「馬鹿な」
 ふらふらとベッドに近づくと、シンは苦しそうな表情で眠る少年の顔をじっと見下ろした。
 今朝CDで見た少年に間違いないが、なんと痛々しい姿なのだろう。
「ここに病院はないのか?」
 パメラを振り返ると、パメラは悲しそうに微笑む。
「ここが病院であたしが医者。残念だけど、こちら側には今は十分な医療機材が揃ってないんだ。痛み止めと包帯を手に入れるのがやっとさ」
 政府軍側とのあまりの違いに、シンは愕然とした。そんな状況にありながら、何十年も政府軍と戦い続けているなど信じられない。当時の記憶では、かなり多くのものを豊富に所有していたはずだ。
 何も言わないシンに、パメラが言葉を続ける。
「以前はね、こっちにもかなり充実した医療器具が揃ってたんだ。だけどここ2年くらい、急に物資が届かなくなってね。それに政府軍も最近は本気で攻撃をしてきたりしなかった。だから怪我人も痛み止めと包帯と消毒液くらいでなんとかなるくらいだったんだ……でも半年程前から急に動きが慌ただしくなってね、なんだかおかしいんだ」
「おかしいとは、どういう事だ?」
作品名:Minimum Bout Act.02 作家名:迫タイラ