Minimum Bout Act.02
「組織はエンド政府を裏から操ろうとしているのよ。その為に政府に反発する勢力が必要だし、ここだけじゃなくて他の惑星の反政府組織にも武器や資金を流しているでしょ。政府を疲弊させるには戦争が一番手っ取り早いからね」
国民と政府を同時に攻撃するには、戦争が手っ取り早い。その為には強力な武器とそれを指示する同志、さらには強力なパトロンがいれば言う事はない。もちろんどちらも多大な精神的肉体的金銭的な代償は大きいが。
驚くべき事にplainの場合ははっきりとしたパトロンが存在しない。武器や麻薬の売買だけではとてもじゃないが何十年もの間戦争を続けさせる事など出来ないだろう、しかし現実にやっているのだからその資金力は底が知れない。
おかしな話しで、組織が裏で関係する会社から、政府も様々な製品を購入している事実がある。これはもちろん一般に公表されている訳ではないが、カッツ達のような仕事をしていれば自然と耳に入って来る情報だ。
「組織は何か特殊な錬金術を持っているんだろうな」
呟くカッツの考えは恐らく正しい。いくら巨大な裏組織といえども、長期間に渡っていくつもの反政府組織に資金提供をし続けるなど、一介の裏組織如きの力では通常では考えられない。
「つっ……」
急に頭の中を冷たい痛みが走り、ルーズは顔をしかめた。
「どうした?」
「いたたーーーちょっと頭痛がしただけ、大丈夫よ」
「そうか。そろそろ市街地に入る。一応政府公認ルートを辿るが、気を抜くんじゃねーぞ」
「分かった」
銃を持った兵士が立つゲート前で車を止め、ステーションで発行された入国許可書を見せIDチェックを受けると、重そうなゲートがゆっくりと開いた。
「よし、急ぐぞ」
ゲートをくぐると、カッツは思い切りアクセルを踏んだ。
作品名:Minimum Bout Act.02 作家名:迫タイラ