黒い満月
「実はね、ヨシキ、
2年後の2013年の … 5月21日のことだけど」
ミッキッコは、まずこんな不可解な期日を上げて来ました。
私は、既に中華丼のようになっていた脳で、
「それは一体何のことだべ?」と、ぐるぐると考えを巡らせてみました。
しかし、その推考はやっぱり纏(まと)まらず、中途半端に応答してしまいました。
「2013年5月21日って?
今日は2011年の5月21日だから …
そうだよな、その日って、今から2年後のことだろ?」
そしてビールを少し口に含んで、不透明ながらも精一杯続けたのですよ。
「そうか、ミッキッコ、その日って、わかったぞ、
部長の … 不倫がバレる日なんだよ!
で … 部長はクビに?」と。
こんな私の当てずっぽうを、ミッキッコはポカーンとした表情で聞いていました。
だが直ぐに気を取り戻し、話しを続けて来るのです。
「あのね、ヨシキ、
その安物のクラゲ酢ばっかり食べてないで、
激辛ハバネロ包み焼きを食べて頂戴、
それで … ちょっとその脳をシャキッとさせなさいよ!」
私はそんなミッキッコのきつい突っ込みに、「はい」と背筋をちょっと伸ばしました。