黒い満月
「あ~あ、俺の脳も遂に … 中華丼になってしまったか?
ぐちゃぐちゃ混ぜのドロドロ」
私もさすが疲れて来ていたのでしょう。
こんなアホで、珍無類なうめき声を漏らしてしまっていました。
そして自虐的に、「ふぅ~ぅぅぅ・ぅ」
こんな余韻の残る溜息を一節吐いて、顔を何気なく上げまして、ぼんやりとフロアの奥の方を眺めてみました。
そして、霞んだ焦点をかろうじて合わせてみますと、
いたのですよ!
夕風美月子(ゆうかぜみつきこ)が。
彼女も私と同じように自分のデスクで、ぼーとしているではありませんか。
しかし、それがですよ、
私より重い症状が出ているようでして、
まるで何かに魂を吸い取られたかのように、放心し切った様子なんですよね。