ことばの雨が降ってくる
*声に出して読んでみる*
ある先生から『書いたものを声に出して読んでみるといい』と言われたことがあります。
前項でうまい文章にはリズムがあるといいましたが、それと関連しています。
声に出して読むと、やはりリズム感の悪い文章は読みにくいのです。
ワタクシも小気味よく打てた時の文章ではやりませんが、どうしてもうまくつながらないときなどは、声に出して読んでみます。
すると、やはりへたなところが見えてきます。
そこですぐに直せれば、たいしたものですが、なにしろ凡人なのでしっくりくることばを見つけるのに四苦八苦するわけです。
これまた昔、ミニコミ誌を発行していた20代後半の頃、NTTから周辺地域の民話を採話して、3分間で読めるように構成してくれないかと依頼されたことがありました。
それをテレフォンサービスとして、一ヶ月1話、1年間を通じて流すというのです。
一期と二期と分けてやりましたが、都合24話分の民話を手がけ、難しかったけれども、勉強になりました。
そして、このときですね。
読みやすい文章と読みにくい文章があるということに気づいたのは。
どうしてもうまく書けない物語がありました。
何度も書き直しましたが、気に入りません。でも、それ以上に書きようがないので、決定稿として提出したのです。
朗読は婦人会のおばさま方ですが、その話を担当された方には本当に申し訳なかったと思います。
読みにくそうで、ずいぶんつっかえて、何度も録音しなおしました。
声に出して読むと、文章の善し悪しが見えてくるものだと痛感したできごとでした。
作品名:ことばの雨が降ってくる 作家名:せき あゆみ