キミと一緒!
「・・・・っやだ・・・やめて・・」
「何で止めないといけないの?」
「だ・・・って・・・!!」
赤い朱莉の顔は有利の手が触れた刹那、更に赤くなった。
「ほら、もう諦めなさい。我慢しない方がいいよ?」
「っあ・・・・・」
服に隠されていたのは、有利が捲ったことによって赤く露になった。
「・・・・ぁ・・・の・・・」
「やっぱりね・・・まぁ、いいけど・・・・始めるね」
有利は朱莉の赤くなったのを触った。
「いったああああああああああああい!!!!」
「どうした!?」
「朱莉君が怪我してね・・・今、消毒しようとしていたところだよ」
「もしかして・・・・さっきの何かヤバイ声だったのは・・」
「うん?朱莉君の声だよ?」
どうやらさっきの声は朱莉が怪我をして消毒をしようとした声だったらしい。
「はぁ・・・」
「・・・えっと・・・その・・朱莉君の怪我の原因とかって・・・?」
利句は心配そうな顔で朱莉に聞いた。
朱莉は「えっと・・」と言いながら
「包丁で、ザクッ☆っと・・・」
「っざざざざざざざ!!!!!!!」
「ぎゃあああ!!!!利句兄ぃぃぃ!!!!」
利句はフラっと倒れてしまった。
「・・・あー・・・いつもの事だからいいよ。気にしないでネ」
「キメェ」
「あーん☆ひ・ど・い」
「死ねぇぇぇ!!!!」
相変わらず喧嘩(?)が絶えていない日野家は1日1回以上は喧嘩をしている。朱莉も最初は吃驚していたが、兄弟ってこんなんなんだと思い、もうすっかり慣れている。
(・・・・というより、朱莉の性格はサッパリした性格なので、あんまり気にはしていないらしい。)
「はぁ・・・兄さんに春樹君、喧嘩止めないと、オヤツナシだからね」
「「それは困る」」
有利と春樹は即座に喧嘩を止めた。
(何という隆樹兄の迫力・・・と言うより・・・・単純すぎなんだけど・・」
「・・・・さて・・・」
「え?」
有利は真剣な顔つきになり
「オヤツは?」
「・・・あー・・待ってて。直ぐに出すから」
「朱莉、コイツとずっといられるには・・・子供だと思えばいいからな」
「うん、わかった。有難う、春樹兄」
「ひっどおおおおい!!!!」
(亜佐美さん、俺達ホントの兄妹じゃないけど・・・楽しく過ごせそうだよ)
朱莉はそう思いながら台所へ向かって行った。
「「・・・・は?」」
ある日のお昼、春樹と朱莉は一斉に「は?」と言った。
「うん・・分かるよ?気まずいってのも・・・ね?」
「だったら何故俺達を連れてってくれない」
「大人、だから」
春樹にとったら今の言葉はとても頭に響いた(らしい)
「春樹兄・・・・そう、だよね。俺と一緒にいるの、嫌だよね・・・」
「っっっな!!!!!???」
朱莉はシュンとすると食べた食器を洗いに台所へ行った。
「・・・・・・・その、嫌、じゃなくて・・・っつーか、その台詞俺が言うセリフじゃねーか」
「え・・・?」
「・・・・つーか、いいぞ。俺家にいっからさ、ダチと一緒に出掛けたりするなり・・・(恥ずかし・・んな言葉俺の柄じゃねーし・・・)」
春樹は顔を赤らめて言った。朱莉は少し微笑むと
「―うん。と言うより、俺あんまり出掛けないんだよね。人混みとか嫌だし」
「・・・えっと・・・・一緒にいるの、大丈夫・・?」
「うん
あぁ」
さっきとは全く違う態度で接した2人を見て有利は軽く笑を零した。
「・・・・・春樹」
「・・ん?って・・・引っ張んな!服伸びる!!」
有利は春樹乃服引っ張って、朱莉に聞こえないように話した。
「君が一番血に惹かれやすい者だ。あんな事したらね・・一歩間違ってみ?近親相姦だからね」
「っ・・・!!・・・・俺は、そんな事はしねぇ。アイツは・・・・アイツだけは駄目なんだ・・・!!」
「よぉく、覚えておいてね?もし、そのようなことがあったら・・・叔父さん方に連絡して拷問になるから」
春樹は舌打ちをするとソファに腰をかけた。
―苛々する。まさか、クソじじぃ共の名前が出るたぁ、思わなかった。
『ねぇねぇ、叔父ちゃん。どうして僕は血を触っちゃいけないの?』
『それはね・・・獣になっちゃうからだよ』
『獣になっちゃうと・・・』
「・・き・・・るき・・・・春樹!」
「っ!!!!」
春樹はハッとすると直ぐにいつも通りの態度に戻り「んだよ」と答えた。
「僕達出掛けるから。・・そうだね・・・軽く2、3日は戻らないと思う。帰るときは電話するから」
「あ、あぁ・・・」
3人は行ってきますと言うとドアが閉められる音がした。
―朱莉と2人っきりか・・・・・
「・・・なぁ、お前さ・・・」
「・・ん?どうしたの?」
「血って、好きか?」
「は?」
春樹はしまったと思い、訂正をした。
「・・あーいや・・その・・・最近俺のバイト先で質問されてよぉ・・・んで、弟君にも聞いてみてくださいってさ・・・」
朱莉は「あぁ・・そういうことね」と言うと少し考えて口を開いた。
「好きでもないし・・・嫌いでもない」
「?どっちだよ」
「俺も、よく分かんないや。ただ、頭の中に浮かんだ言葉」
「じゃぁさ・・・質問していいか?」
春樹は「座れ」と言ってソファに朱莉を座らせた。
「・・・例えば、朱莉の兄の中で誰か1人が血を見ると、獣の血が騒いでしまう兄がいました。
そして、朱莉の血は特別な力があって、その血を飲む事、契約。そして、飲んだ兄・・・獣にしよう。獣が飲むともう、あおの気持ちは一生起こらない。・・・ってなったら、どうする?あ、その兄の誰かは朱莉のことが好きってことだからな」
沢山の日常で使わない言葉を一気に聞いたので朱莉は少し混乱していたが、春樹の予想を超える程早く答えを聞くことができた。
「うーん・・・そうだね。要するに、その兄の1人は俺の血が欲しいって、事だよね?」
「あぁ」
「なら、あげるよ。それで、その人が助かるなら」
まさかの答えに春樹は何て答えたらいいのか分からなかった。ただ、驚くことしかできなかった。
―普通の奴は怖いとかそんな理由を言うのに・・・朱莉だけは、あげるって言った。いや・・言ってくれた。
このまま、血を貰ってもいいよな・・・?
『叔父さん方に連絡して拷問になるから』
(!!!!・・・っぶね・・・今の言葉思い出さなかったら、俺は、お前の・・・・)
「返答サンキュ。んじゃ、お休み」
「っえ!?・・・・・・あ、お休み・・」
春樹はソファに座ったまま眠った。
そして、春樹の意識はここで途切れた。