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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・弐】パッパヤッパー

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「あっちだ!!」
迦楼羅が叫んだ
「どっちッ!?;」
阿修羅も言う
「だからあっちだと言っているだろう!!」
再度 迦楼羅が言う
「だぁから!!; どっちだっつーの!;」
そしてまた阿修羅も言う
「あっちだと言っているではないかたわけッ!!」
怒鳴りながら迦楼羅が阿修羅の頭のミョンミョンを引っ張る
「あっち言われても見えないんだからどっちかわからんきにー!;」
阿修羅が走りながら言った

「犬は犬らしく言う事を聞いてください!!」
振り下ろされた大きな前足を避けつつ乾闥婆が言う
「クルルルル…カッフッ」
喉を鳴らした後コマの方がゲップをした
「ッ…; 酒臭い…;」
乾闥婆が顔をしかめて腕で鼻をふさぐと見物していた正月町民も酒臭さからか手で仰いだりしている
「あははははははははは!!」
そのコマの後ろでイヌが笑う
「…何だか腹立ってきました…」
笑い転げるイヌを見た乾闥婆があからさまに不機嫌だという顔をする
「水でも被って反省しなさいッ!!」

バシャ----------------------------!!!

乾闥婆が腕を空に上げると消火栓から勢いよく水が噴出した
「冷たいのは嫌なんだやなッ!!」
さっきまで笑い転げていたイヌが立ち上がり迫りくる水を睨む
「ゥオォオオオオオオ--------------ン!!」
イヌの遠吠えが響き渡り青い光の壁が二匹の前に現れた
「甘いですよ!!」
言った乾闥婆が手を返すと水が壁すれすれを上り上からコマとイヌに降りかかる
「おおおおお!!」
見物していた正月町民から歓声が上がった
「水芸!! 水芸!!」
「いいぞー!!」
「何これ? 何かのキャンペーン? 猛獣ショー?」
歓声の中から聞こえるそんな声を気にもせず乾闥婆が再び手を返した

「今なんか聞こえなかったか? かるらん」
足を止めた阿修羅が背中の迦楼羅に聞いた
「…あっちからだな」
迦楼羅(かるら)が言う
「またアッチが始まったナァ;」
阿修羅がハッハと笑う
「あっちって本当どっち;」
阿修羅が迦楼羅に聞く
「…こっちだ」
迦楼羅が答えた
「……かるらん~…;」
阿修羅ががっくりと肩を落とした
「ではどう答えればいいいのだ!!;」
迦楼羅が阿修羅の頭のミョンミョンを引っ張って怒鳴る
「イロイロあるんでしょが; 右ーとか木の立ってる方とかさぁ;」
阿修羅が言った
「…最初からそうしてくれと言えば良かったではないか! たわけッ!!」
しばし間を置いてから迦楼羅が阿修羅の頭のミョンミョンを引っ張りつつ怒鳴る
「やぁっぱオライが悪いんかーぃ;」
阿修羅が溜息を吐きながら言った

ポタポタと水滴が水溜りに落ちる
「どうです? 少しは目が覚めましたか?」
乾闥婆がにっこりと笑顔を向ける先にはビショ濡れになったコマとイヌの姿
「やりやがったんだやな…」
ブルルッと体を震わせて水気を飛ばしたイヌが乾闥婆を見た
「冷たかったんだやな」
コマも同じく体を震わせて水気を飛ばすと乾闥婆を見る
「…まだ足りませんか?」
乾闥婆が二匹を睨むような笑顔で見る
「仕返しするんだやな」
二匹が威嚇ポーズをとった