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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・弐】パッパヤッパー

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「止まりなさいッ!!」
乾闥婆が前を走る大きなコマとイヌに呼びかけたが一向に二匹は止まる気配がない
田舎といえどまだ日中ということでソレ相応に人目がある
そんな正月町民の視線を受けつつ二匹と一人の追いかけっこは続いていた

「遅いぞたわけッ!!; 見失ったではないかッ!!;」
阿修羅の頭のミョンミョンした飾りを引っ張って阿修羅の背中で迦楼羅が喚いた
「仕方ないやんけ~; オライは飛べないんやし~; しかもかるらんおんぶってることで遅いんだし~;」
仲良くお手々を繋いだ標識は通学路のマークでその標識の横を迦楼羅をおぶった阿修羅が走る
「屋根渡ろうにも家少ないから道走るしかないやんけ;」
阿修羅が言うと上を見上げた迦楼羅が膨れた
「ではもっと早く走らんか!」
そして阿修羅の頭のミョンミョンを思い切り引っ張る
「ヘイヘイホゥ;」
溜息交じりで返事をした阿修羅が強く地面を蹴った

「止まりなさいと言ったでしょう」
電信柱から二匹の前に降り立った乾闥婆がにっこりと(どことなく怖い)笑顔を二匹に向けた
「グルルルルル…」
二匹が威嚇と捕らえられるような声を出す
「…見物は結構ですが…怪我をしたくないならば下がっててくださいね」
乾闥婆が今度はその笑顔を周りにいた正月町民に向けると正月町民からざわめきが生まれた
「酔っ払いには水をかけて目を覚ますのが一番ですね」
乾闥婆が片手を上げると数メートル後ろにあった消火栓からポタタッと水滴が落ちた
「グルルルルル…」
乾闥婆を見つつ二匹は相変わらず威嚇をやめない
「いきますよ」
乾闥婆が二匹を睨んだ

「さっきのやっぱ左だったんやかねー;」
阿修羅がボソッと言う
「迷ってるではないかたわけッ!!!;」
迦楼羅がスパンっと阿修羅の頭を叩いた
「仕方ないやんけ; オライはコッチにまだ慣れ親しんでおらんきにー;」
阿修羅が言う
「そんな言うならかるらんがだっぱの宝珠の力探ればいいやんけ」
阿修羅が言うと迦楼羅が一瞬黙った後軽く手を叩いた
「どうしてソレを早く言わんのだたわけッ!!!」
そして阿修羅の頭のミョンミョンを再び引っ張り怒鳴る
「やっぱりなんにしろオライが悪いのかーぃ;」
頭のミョンミョンを引っ張られながら阿修羅が言った