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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・弐】パッパヤッパー

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パシャン…ポタタ…

「ひっく…」
尻尾から水滴を落としつつゼンゴがゆらりと立ち上がった
「迦楼羅…!? どうしたんですか!? 迦楼羅!!」
膝を突いた迦楼羅を支えて乾闥婆が声を上げる
「かるらん!」
悠助が心配そうに迦楼羅の顔を覗き込む
「こりゃ…一体どうし…ッ!?;」
頭を書きながら顔を上げた阿修羅が止まった

「クルルル…」
犬が喉を鳴らす声が聞こえた
「一体…どうしたもんなんだか…ねぇ?;」
阿修羅の口元がひくついている
「な…ん…;」
阿修羅と同じ方向を見て慧喜も言葉をなくす
「…これは…」
乾闥婆も顔を上げた
「コマ…とイヌ…なの?」
悠助が見上げたソコには某お前にサンが救えるか!! という名台詞でおなじみのアニメ映画に出てくる山犬くらいの大きさの大きな一角の犬が二匹

「あははははははははははははは!!!!!」
そしてその二匹が揃って馬鹿笑いをし始めた
「…間違いなくあの二匹らしいですね」
笑い声と共に巻き起こった風の中 乾闥婆がピョン毛を揺らしながら言う
「…そうか; 酔っ払ってワシの力を吸っているのか;」
つかれきった顔で迦楼羅が言う
「ほっほーう…んで…こうなった…って…」
阿修羅が迦楼羅からでっかくなったコマイヌに視線を戻して止まる
「…外…でていっちゃった…」
悠助がボソッと言った
「いかん!; アレが外で騒いでは…ッ;」
迦楼羅が言う
「いかんのは貴方ですッ!!」
「だっ!!;」
立ち上がった迦楼羅の髪を乾闥婆が思いっきり引っ張った
「力がほとんど残っていない状態で行ってどうするのですか!」
乾闥婆が言う
「では放っておけというのか!?」
迦楼羅が怒鳴る
「僕が行きます」
乾闥婆がにっこり笑って立ち上がった
「一人でか?」
玄関に下りた乾闥婆に迦楼羅が聞く
「すぐ戻りますよ」
靴を履いた乾闥婆が振り返り言う
「やはりワシも行く」
迦楼羅がおぼつかない足取りで玄関に下りた
「…足手まといなだけですよ」
乾闥婆がキッパリ言い切った
「まぁまぁ; 二人とも落ち着いてってん;」
阿修羅が乾闥婆と迦楼羅の間に割って入って二人をなだめる
「貴方は自分の心配をしててください…僕の心配は無用です」
そう言うと乾闥婆が玄関を出駆けていった
「ちょ…!!; コラ!乾闥婆!! 待たんかッ!!;」
乾闥婆の後姿に迦楼羅が怒鳴る