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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・弐】パッパヤッパー

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「アレは…?」
正月町民も含めその場にいた一同がイヌの次の言葉を待っている
「…アレは主の…」
イヌが小さく言うと体がぐらついた
その後ろでコマのが倒れた
「お…おいッ!!;」
京助が倒れたコマに駆け寄り体を揺さぶった
「どうしたの?;」
「アレ神社の…」
ザワザワと正月町民がざわめきだした
「…ハイッ!!」
パンっという手を叩いた音と阿修羅の声がざわめきを一刀両断した
「練習終わりッ!!」
「へ?;」
阿修羅が言うと京助と緊那羅、そして乾闥婆と迦楼羅がきょとんとした顔で阿修羅を見た
「お騒がせしまして~…ホレ! 撤収!!」
阿修羅が倒れたイヌの前足を肩に担いだ
「あ…ああ?;」
京助が疑問系のようなそうでないような微妙な返事を返すと緊那羅と顔を見合わせて首をかしげる
「通行の邪魔だろが~? 急げや急げ~?」
ズルズルをイヌの足を足を引きずりながら阿修羅が振り返って言う
「…俺が運ぶのか?; やっぱ…コレ;」
京助が倒れているコマを見下ろして呟いた
「私も手伝うっちゃ;」
緊那羅がコマの右前足を肩に担いだ
「はぁ~ぁ;」
京助が溜息をつきながらコマの左前足を肩に担いで歩き出した
「んだば!!」
阿修羅がぽかんとしている正月町民に片手を上げてハッハと笑った

「大丈夫ですか迦楼羅」
乾闥婆が迦楼羅に聞きながら立ち上がった
「ソレはワシの台詞だ!!」
すっくと立ち上がった迦楼羅が乾闥婆に言う
「僕の心配は無用と言った筈ですよ」
乾闥婆が言った
「…ちょいまち緊那羅」
そんな二人のやり取りを聞いた京助が足を止めて着ていたパーカーを脱いだ
「ちょ…; 重ッ;」
さすがに一人では巨大化したコマを支えるのが無理だった緊那羅が膝をつく
「ホレ」
「え…あ…」
バフっと頭にパーカーをかけられた乾闥婆が驚いて京助を見た
「見せたくないんだろ?」
京助がそう言い残して緊那羅の元に戻って行く
「あ…りがとうございます…」
乾闥婆が京助の背中に向かって小さく言った
「…行くぞ」
迦楼羅が不機嫌そうに言う
「何怒ってるんですか」
乾闥婆が聞きながら足を進める
「怒ってなどおらん!!」

ぎゅきゅうぅうう…

「怒ってるじゃないですか」
「怒っていないと言っているだろう!!」

きゅぅううううう~…

「怒ってます」
「ない!!」
きゅるるるるる~…
ギャーギャーと一方的に迦楼羅が声を上げては一緒になって鳴く腹の虫に乾闥婆がさらっと返すという口喧嘩らしきことをしながら阿修羅と京助達の後に続く乾闥婆と迦楼羅を正月町民はただ見ていた
「…なんだったんだ?」
一人のオッサンがボソッと言った