刻の流狼第四部 カリスアル編【完】
その途中までバナジェスタとガルク、ソウナの見送りが在り、恒河沙はガルクから手料理の差入れまで貰って上機嫌に手を振り続けた。
「ガルクが店を持ったら、必ず食べに行く」と、何度も大声で叫んだ。
幸せそうに寄り添い見送ってくれるバナジェスタ達を振り返り、ソルティーはこの先も彼等が三人で在る事を祈った。
バナジェスタはソウナを手放したくないと言い、自分達で立派に育てると誓った。
しかし、今でもロアラの家ではソウナを捜している。血の繋がった者が居る所に返した方が良いのかも知れないが、それはソウナをロアラの様な運命を背負わせてしまう事に繋がるかも知れない。
高い地位を手に入れる事だけが総てではないと知ったからこそ、ソウナを普通の子供に育てたかった。
もしかすると、それ程遅くない時期に、彼等はあの獣道を使う事になるかも知れない。
その時は、無事三人が逃げ切れる事を願う。
多分他の誰にも、それだけしか三人に対して出来ないだろうから……。
episode.37 fin
作品名:刻の流狼第四部 カリスアル編【完】 作家名:へぐい