狂って踊って【第1章完】
寮に着いた俺達は、終始無言?だった。
「「・・・・・・・・・」」
俺はさっきの事が頭に入ってきた。
親友・・・そう、親友の。然も同性の男にキスをされた。しかももあんな・・・舌まで入れたキス。
いつもワラワラしている晴夜の目が、怖かった。
体が動くことができなかった。
俺の体が少し震えていた。
さっき少し泣いて治まったのに・・・
すると悠宇が、俺の頭をポンと置くと
「怖かったよね。さっきよりも、思いっきり泣いていいよ?大丈夫。晴夜はここにいない」
「っ!!・・・あ、ぁ・・・ふっ、うぅっ・・・怖かった・・・怖かった怖かった怖かった!!体が、ヒック、動かなかった!あぁっ・・・うあぁぁっ・・・!!!」
「うん、うん・・・怖かったね。大丈夫大丈夫。修弥が僕に助けを求めていたってのが、嬉しかった。大丈夫だよ、守ってあげるから」
悠宇は俺を抱き締めてくれた。さっきとは違う力強さに、俺は全ての体重を悠宇に預けて嗚咽混じりの・・・かっこ悪いけど、思いっきり泣いた。
そして、俺の記憶はここで途切れた。
✽✽✽✽✽✽悠宇視点✽✽✽✽✽✽
「ん、あれ。修弥?修弥っ!?・・・・・・寝ちゃった。全く、世話の焼ける人だね」
僕は修弥をベッドに寝かせると、布団を掛けてあげた。
―可愛い寝顔。
泣き疲れた修弥の顔を、僕は、マジマジと見た。
真っ白な顔。さっき外で見た顔は、血の気を失っている程白かった。
鼻は赤くなっていた。まぁ、泣いていたもんね。目元も赤かった。
「・・・」
ツン、と僕は修弥の頬をつついてみた。
柔らかい。骨っぽい顔だから、皮しかないもんね。それに、滑り心地も良い。
今度は両手で、両頬を引っ張ってみた。
―・・・お餅より伸びている。
「ヤバイ・・・クセになりそうかも」
時々触ってやろう。と思ってしまった僕。
「・・・」
僕はまだ寝ないから携帯の画面を開けて見た。
―着信履歴
「宇多晴夜・・・」
あんな晴夜を見たことがなかった。
壊れていた。
多分、あの立場だったらきっと僕も足が竦んで逃げるとか、出来なかったかもしれない。
すると、ブーブーと、僕のケータイが鳴った。
着信
宇多晴夜
「・・・っ!」
僕は軽く深呼吸をして、電話に出た。
作品名:狂って踊って【第1章完】 作家名:淺香 悠衣