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刻の流狼第二部 覇睦大陸編

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「あのねぇ、あんた一体何歳だと思ってんのよ。彼みたいにいい男には、あたしみたいにピッチピチのいい女の子じゃないと釣り合わないの! ああ、金髪碧眼なんて前じゃ考えられなかったわ」
「……あんた、あたしの何倍も生きていてよくそんな事言えるさね。それに、男二人も侍らせて置いて、まだ欲しいなんて欲張りだねぇ」
 冷たい視線を瑞姫に送ると、彼女は心底不服そうな顔になった。
「ふん、あんなのただの“ロリコン”と“ホモ”じゃない。居ない方が気持ち悪くなくて、あたしは嬉しいわよ! あたしの夢は金髪碧眼の“白馬の王子様”との“ロイヤルウェディング”だったのよ。あーんな“八百屋”と“リーマン”の息子なんて“アウトオブ眼中”ってやつ。判った?」
 判らないとディゾウヌは首を振った。
 時々ではあるが、瑞姫が話す言葉が理解できなくて困っていた。それがこの世界の言葉ではないのだと知ったのは、随分昔の事だった。
「ああ、もう良いわよ。それよりさ、他の子を写してくれない。あたし見たこと無くて」
 そうお願いされて、仕方なくディゾウヌは一人一人を映し出した。
「きゃーーっ! “マスコット”と“ビジュアル系”だなんて、贅沢〜〜。今度絶対あたしが会いに行ってやるんだから!」
“ーーー!!”
“オロマティスッ!”
 気分を盛り上げていた瑞姫の頭の中に、突然大音量の声が響いた。
「なっ、何よ。うるさいわね、黙りなさいよ」
“しかし……”
「うるさいって言ってんの、聞こえないわけ? あたしの楽しみの邪魔をすると、ただじゃ置かないわよ」
“……判ったわ”
 瑞姫に無理矢理黙らされて声は仕方なく思考を止めた。
 それでも渦巻くのは疑問と疑惑。
 声が驚きを示したのは恒河沙の姿。
 その姿は少しずつ水鏡から遠ざかっていった。


episode.11 fin