茶房 クロッカス その3
「ヤッター! ブランデーだっ! それもVSOP」
見ると、きりんさんだった。
俺は早速きりんさんの傍へ行って声を掛けた。
「きりんさん、VSOPゲットですか? おめでとう!」
「うーー、嬉しいですぅ。帰ったらごりらさんと一緒に飲もうっと!」
「えっ、ごりらさん?」
「キャハハ、ごめんなさい。びっくりさせて……。ごりらさんと言うのは主人の呼び名なんですよ」
そう言うときりんさんは、プププッと笑った。
「あっ、なんだ、そうですか。びっくりしましたよ。アハハハ……」
「そのVSOPは、確か、レッカーさんからのプレゼントじゃなかったかな?」
「あっ、本当だ。レッカーって書いてあるわ。じゃあ早速お礼を言わなくっちゃ!」
そう言いながら、きりんさんは大きな声で「レッカーさーん!」と呼んだ。
《ははは、楽しい人だ。きりんさんて……》
今度は京子ちゃんの所に行ってみた。
「京子ちゃん、何が当たった?」
「悟郎さん、それが………、これなんです」
「うん? それは手紙か何か?」
見ると、グリーンの可愛いメッセージ用紙に何か書いてある。
「えぇ、これがこの可愛い箱の中に入ってたんです」
「へぇ〜〜」
書いてあるのを読んでみた。
『メリークリスマス☆ 素敵なあなたへのプレゼントは、マスターが大好きな曲「木綿のハンカチーフ」の入った、太田裕美のベストアルバムです。せっかくだから、直接手渡ししますね。 By みの』
「おぉー、これはみのさんからのだね。それにしてもこれが当たるとは……」
「えぇ、そうなんです。京平との想い出の曲……」
そう言った京子ちゃんの目には、早くも光るものが……。
「大丈夫かい? 京子ちゃん」
「はい、ちょっと思い出しちゃった。でも大丈夫。いつかきっと『こんなこともあったんだわ』って思える日が来ると思うから。それまで大切にしまっとくわ」
「うん、そうだね。人生には色んなことがあるから……。京子ちゃんの人生はまだ始まったばかりだからね。大丈夫さっ!」
「じゃあ、そのアルバムをみのさんにもらっておいで」
「はい、そうします」
そう言って京子ちゃんは、みのさんの所へ行った。
作品名:茶房 クロッカス その3 作家名:ゆうか♪