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茶房 クロッカス その3

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 俺は二人を横目で見ながら、今度は花織さんたちのそばへ寄った。
 今日の花織さんは、ボレロ付きのベージュ色のワンピース姿だった。
 そのワンピースは、ウエストでリボンが結んであり、スカート部分が可愛いフレアーになっていた。
 ミニスカートがふっくら膨らんでいるのは、その中に何かシルエットを作るための物を履いているようだ。俺には、それが何という物なのかまでは分らなかったが……。
 それにしても彼女は相変わらず可愛い。服はもちろんだけど、顔も……。
 彼女を独占してるご主人は幸せものだ。
 そんなことを考えながら彼女に声を掛けた。

「花織さん、今日はよく来てくれましたね。ありがとう」
「いいえ、こちらこそ楽しませてもらってますわ」
「そう言ってもらえると嬉しいですよ。ところでご主人は?」
「あらっ? どこへ行ったのかしらダーリンは……。今までそばにいたのにぃ〜」
 二人でキョロキョロと店内を見渡すと、花織さんのダーリンは京子ちゃんと話をしていた。
「もう! ダーリンったら可愛い子には目がないんだからっ!」
 そう言うと、花織さんはさっさとダーリンの所へ行ってしまった。
 黙って様子を見ていると、京子ちゃんと三人でにこやかに笑って会話を始めた。
 なぜかそれを見てほっとした。俺は何を心配してるんだか……アハハハ……。
 
 それにしても今日の京子ちゃんは、いつもと違ってまた可愛い。
 いつもはラフな格好で来ることがほとんどだけど、今日はやはりパーティーだからなのか、可愛い女の子らしいオフホワイトのワンピース姿だ。
 裾と袖口からピンクのフリルが覗いている。
 胸元には星をモチーフにした可愛いペンダントが揺れていた。
 あれは、もしかしたら京平からのプレゼントなのかもしれない。
 何の根拠もないのにそう思ったし、きっと当たっているとも感じた。よし、後で聞いてみよう。 
 そう思いつつ、近くの席に座ってた重さんと夏季さんに声を掛けた。
「よう、重さん。しっかり仲良くやってくれちゃってるじゃん!」
「あぁ、まぁな……。夏季さんは優しい人だから、俺みたいなもんにも気を使ってくれるんだよ。ありがてぇーことだよなぁー」
 嬉しそうに言う重さんに、夏季さんが言葉をかけた。
「重さん、それは私の台詞だわ。私の方こそ重さんとお付き合いさせてもらって、とっても毎日が充実してるんですもの。うふふ」
 そして夏季さんは、今度は俺に顔を向けるとこう言った。
「マスター、私、マスターの言う通りにして良かったと思ってるのよ。本当にありがとう。重さんは素敵な男性だわ」
「そうか、それは良かった! 二人が楽しければそれが一番だよ。じゃあ、まだまだパーティーは続くから、ゆっくりして行ってよ」
 そう言って二人のそばを離れた。
 正直ちょっとだけ複雑な心境に、俺の胸がチクッとした。
 いいんだ、いいんだ、俺のことは……。そう思い直して、周囲を見回した。