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茶房 クロッカス その3

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 店の飾り付けがすべて終わってから、みんなで料理に取り掛かった。
 沙耶ちゃんは約束通りオシャレなケーキを作り、俺は、夏季さんの店に注文したオードブルにはない和風の食べ物を少しだけ用意した。
 礼子さんは自宅から大きなガラスの容器を持ってきて、フルーツポンチを作ってくれた。
 それから間もなく良くんが、仲間三人を連れてやってきた。
 見ると、みんな手に手に大きな荷物を持っている。

「やぁー良くん、よく来てくれたなぁ、今日は頼むよ!」
 俺は良くんにそう言うと、他の面々にも一言ずつ挨拶を交わした。
「皆さん、今日は宜しく頼みます。演奏してもらうお礼は特にできないと思うから、その代りと言っちゃなんだけど、せめてドリンクや料理だけでも自由に飲んで食って下さい。ま、ともかく遠慮なく楽しくやって下さいよ!」
 俺がそう言うとみんなは、
「ありがとうございます! 大いに楽しませてもらいまーす!」 
 と、元気な声が返ってきた。
《やっぱり若いっていいなぁ〜》と、つい笑ってしまった。

 店の一隅のテーブルや椅子を動かしてスペースを作ると、四人は演奏道具の準備を始めた。
 ギターにベースにドラム、そしてトランペットが出てきた。
 これらを持って来るだけでも結構大変だったと思う。
「マスター、何か演奏曲の希望はありますか?」
 と、良くんが聞いてきた。
「あぁ、これといってないけど、まぁ、俺が知ってるところで言うと、きよしこの夜とか、ジングルベルとか、赤鼻のトナカイさんぐらいかなぁ……。何か他にいい曲があったら適当にやっちゃって! 任せるから」と答えた。
 まぁ実際の話、俺はフォーク以外の音楽に関しては全く無知だったから、任せた方が間違いないだろうと思った。
「分かりました。メジャーなクリスマス曲と、人気のヒット曲を適当に演奏していきますねっ。もしお客さんからの希望があればそれを演奏してもいいし……ま、臨機応変でやりますよ」
「ああ、宜しく頼むなっ」
 時計を見ると、十時半を過ぎている。そろそろ時間も迫ってきたから、いつお客さんが来てもいい時間だ。
 そう思う間もなく、一人目のお客さんが現れた。