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茶房 クロッカス その3

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 コロさんは六十歳前後に見えるけど、今でも現役で働いているらしい。そして、どう見てもバイク乗りの格好をして来ている。上は革ジャン、下はジーンズだけど、足にはブーツだ。
 このくらいの年齢でそんな格好ができるなんて、男の俺から見てもカッコイイ!
《俺はバイクにはとんと興味がないから、バイクのことは聞いても分からんだろうが、もしかしたら今日はここまでバイクで来たのかな? 》後で聞いてみようと思った。
 コロさんと同級生と言うことは即ち同い年ってことだけど、草愛さんはとっても若く見える。
 優しい若草色のブラウスと、下はカジュアルなベージュのパンツを履き、上品な感じで、ベージュ色の皮のバックを持っていた。足元にはやはり若草色のローヒールパンプスだ。
 顔立ちも優しく、鼻筋はイヤらしくない程度にすらーっと伸びていて、唇も可愛いおちょぼ口だった。若い頃はさぞかしモテたんじゃないかな?
 いつの間にかそんなことを考えていて、ふと時計を見るともう十一時近くになっている。写真を撮るだけで結構時間をくってしまった。

「さぁ、じゃあみんな行こうか! 早くしないとここで昼になっちゃうぞ!」
「そうだね、そうしよう」
 と、おしゃべりをやめてみんなが口々に言い、またぞろぞろと歩き出した。
 少し歩くと、そこは渓流沿いの遊歩道となっていて、左手には清々しい空気の中を、川の水がチョロチョロと涼しげ音を立てながら流れている。
 川辺では、男性や親子連れらしい人がチラホラ釣りをしている姿も見受けられた。
「あぁ、何だか空気が美味しいわぁ。来て良かった! 悟郎さん、誘ってくれてありがとう。私一人じゃまず来ないと思うわあ」 
 と、夏季さんが歩きながら言った。
「いや〜、そんな。お礼言われるほどのことじゃないよ」と俺が答えると、
「あんのぉー、夏季さんを誘ったのは私なんですけどぉー」
 と、わざと大きな声で言いながら、楽しそうに沙耶ちゃんがケラケラと笑った。
「そう言われりゃ確かにそうだよ。今回の企画は何から何まで沙耶ちゃんが手配してくれたんだもんなー」
 改めて沙耶ちゃんへの感謝を込めて俺がそう言うと、
「そうか。――沙耶ちゃんご苦労だったね、俺も来て良かったよ。どうせ家にいたって、まぁ精々テレビでも見て、ゴロゴロして過ごすのが関の山だからよぉ」
 と重さんが言い、
「あら、重さんも? 私もおんなじだわ〜」と夏季さん。
「ん? 夏季さん、ご主人の世話は?」と、小橋さんが不思議そうに聞く。
「あぁ〜。――実は私、今は主人とは別居中なの」
 そう答える夏季さんに、
「そうなのか……。悪いこと聞いちゃったかな? ゴメンな」
 そう言って謝る小橋さん。
「うぅん、大丈夫よ。今はもう、気持ちは落着いてるから……」
 そう言うと、はにかんだように夏季さんは、ふふふっと笑った。