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茶房 クロッカス その3

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 その後みんなを二人に紹介した。
「あっ、カメラの代金はおいくら払えばいいでしょうか?」
 思い出して、俺がそう尋ねると、
「ああ、いいんですよ、そんなの。大した物じゃないですから」
 とコロさんが言った。
「いやー、そういうわけには行きませんよ。ちゃんとお支払いしますから!」
「いやいや、ほんまに結構ですがな」
「――そうですかあ? じゃあここはお言葉に甘えておきます。本当にありがとうございます」
「あっ、良かったら一緒に写真撮りましょうよ。みんなもどうだぃ?」
 それまでじっと、俺とコロさんのやり取りを見ていたみんなに意見を聞いてみた。
「うん、それいいんじゃないですか」
 いち早く良くんがそう言った。するとみんなが競うように、
「うん、そうだよ。それがいいよ! 一緒に撮ろうよ!」と話が決まった。
「――そういうことですから、コロさん。草愛さんも!」
「はい、わかりました。願ってもない嬉しいことですわ」
 と、コロさんが言うと、
「私も嬉しいですわ、皆さんに混ぜてもらえて」 
 と、草愛さんも笑顔でそう言った。

 俺たちはようやく写真撮影を始めた。
 最初は俺がカメラマンになって、コロさんと草愛さんにも入ってもらい、みんなを撮影した。ファインダーを覗くと、両端がはみ出してる。
「重さん、はみ出してるよ! もっと夏季さんにくっついて!」
 俺が大きい声でそう言うと、
「えぇー?! くっついてえぇんだか? ヒヒヒ」
 ようやく聞こえるような声で重さんがそう言った途端
「キャッ! 何するのよ、重さん!」と、夏季さんが叫ぶように言った。
「どうした?! 夏季さん」
「もう! 重さんたらっ……」
「――だって、悟郎ちゃんがくっつけって言うから……」
 重さんが口を尖らせたようにして言った。
「だからって、私の腰に手を回すことはないでしょう!」
 夏季さんは頬を膨らませながらそう言ったが、目は笑っている。
「もぉー! 重さん、そんなことしたのか……。まったくぅ」
「ははは、重さんだって男だもんな! 美人の傍にいりゃあ、ついフラフラーッとなるさ」
「まったく油断もスキもないですね。ははは……」
「夏季さん、勘弁してやって。さぁみんな並んで並んで」
 俺がそう言うと、みんなは好きずきに重さんを冷やかしていたが、笑いながらも皆整列してくれた。
 そこで一枚パチリと撮った。
 すると、撮り終わると同時に、
「次はオラが撮りましょう。悟郎さんはみなさんと一緒に並んで」
 コロさんがそう言いながら近付いて来て、カメラを渡すようにと手を出した。
「あ、いいんですか? じゃあお願いしまーす」
 俺はカメラをコロさんに渡すと、小走りでみんなのそばに行き、コロさんの掛け声で今度はパチリと撮ってもらった。
 続いて今度は草愛さんが撮りましょうと言ってくれて、みんなの前に俺とコロさんが並んでパチり。
 そして最後には、記念だから……と言って、コロさんと草愛さんの二人だけの写真を一枚撮った。