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茶房 クロッカス その3

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 ようやく目指すT峡駅に着くと、俺たちは待ちかねたように一斉に電車を降りた。
 みっこさんと姫ちゃんも、もちろん一緒に降りたんだけど、二人は駅近辺を少し観光してからT峡の方へ行くと言うので、
「じゃあまた、向こうで会いましょう」
 そう言って駅前で一旦別れた。

「マスター、ここで飲み物を買って行きましょうよ」
 と沙耶ちゃんが言うのでみんなで駅前の自販機に行き、思い思いの飲み物を順に買った。
 弁当は持って来たけど、飲み物は大抵どこにでも自販機があるし、荷物にもなるので、みんなも持って来なかったようだ。ただ、おりゅうさんだけは買わないみたいだ。
「おりゅうさんは買わなくていいのかぃ?」と、気になって俺が尋ねると、
「えぇ、私はいいのよ。ハーブティを持って来たから」
 そう言うと、金色のロゴが入った黒いリュックからローズピンクのポットを覗かせた。
「へぇー、ハーブティか……、おりゅうさんてお洒落だねー」
「えっ、そぅお? そんなことないわよ。ふふふっ……。後で悟郎さんにも飲ませてあげるわねっ!」
「おー! 本当かぃ? そりゃ嬉しいなー」
「ウフフ……」
 おりゅうさんはいつの間にか、俺のことを悟郎さんと呼ぶようになっていた。 
 ドリンクを買い終わると、みんなでT峡の方へ向かって歩いた。
 ゆっくり歩いても十分とはかからない距離だ。俺たちはわいわいガヤガヤと歩き出した。