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茶房 クロッカス その3

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 少し雑談しながらみんなで待っていると、
「やあ、ごめん! 沙耶。皆さんすいませーん!」
 そう言って、息を切らせながら良くんという男の人が来た。
 沙耶ちゃんが皆に彼を紹介し、またみんなが良くんに自己紹介をした。
「皆さん初めまして、中矢良一〔なかやりょういち〕って言います。沙耶の幼馴染なんです。いつも沙耶が色々ご迷惑を掛けているかと……〔沙耶ちゃんの方をチラッと見て笑い〕思いますが、僕も今日はご迷惑をお掛けしますので、宜しくお願いしまーす。えへへっ」 と、笑って言った。
みんなそれぞれに「宜しくー」 と言葉を返していた。
《うーん、なかなかユーモアのある青年じゃないか。沙耶ちゃんにはお似合いかもなぁ》 俺は勝手に判断していた。

「さあー! じゃあみんな揃ったことだし、クロッカスご一同様、出発しますかぁー!」
 と、腕を突き上げて俺が出発の合図をした。
 みんなが一斉に「おーーぅ!!」とは、言わなかった。《ガクッ!》
 みんなはただ笑って、頷いただけだった。《ショボン……》 
 そうして俺たちはみんなで駅まで歩き、そろってT峡へ行く電車に乗ったのだった。

 そう言えば書き忘れてたけど、小橋さんの今日の服装は普通の白いポロシャツにグレーのスラックス、そしてカジュアルシューズと、いつもとちっとも変わり映えしない格好だった。
 おりゅうさんは、やはりストレッチが効いてるような黒のパンツに、赤い七分袖のTシャツ。そのTシャツには、キラキラ光るスパンコールというやつが散らばっていて、襟ぐりは大きく開いていた。覗くと豊かな胸が見えそうだ。
足元は赤いお洒落で歩きやすそうなシューズだった。
 みんなそれぞれにリュックを持って来ている。
 電車の中でみんなに弁当を渡し、換わりに代金を集めて、それを夏季さんに渡した。もちろん沙耶ちゃんが……。
 電車の中は、行楽シーズンの日曜日だからなのか結構混んでいて、みんなが一緒に固まって座ることができなかったので、仕方なくバラバラに別れて座った。
 沙耶ちゃんは良くんと、小橋さんはおりゅうさんと、重さんはちゃっかりと夏季さんと一緒に座っている。
 仕方なく俺は一人で、空いてる席に掛けた。
 向かいの席には女性客が二人で座っておしゃべりしていた。
 一人で暇なので、何気なく二人の会話を聞いていると、若い人の方はオーストラリアに住んでいて、今回こちらへ帰って来たらしい。
 そして、もう一人〔少し年配〕の人と一緒に遊びに行くところのようだ。