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茶房 クロッカス その3

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「花織、こんな所にいたのかぁ。何してたんだぃ?」
 彼はすぐそばまで来ると、俺と彼女の顔を見比べながらそう言った。
「ダーリン、この人はここのお店の方なんだけど、この暑いのに花壇の手入れをされてたから、大変だなぁと思ってちょっと声を掛けてお話してたのよ」
「何だ、そうだったのか。それにしても暑いなぁ」
「あ、良かったら中で冷たいコーヒーでも如何ですか?」
 俺は内心少しがっかりしながら、今度は二人に声を掛けた。
《まあ考えてみれば、こんな可愛い人に男がいないわけないかぁ……》
 心の声が二人には聞こえないのをいいことに、
《それにしても、こいつは若いよなー。 どう見ても二十二、三歳にしか見えないが、彼女が仮に三十歳なら七つも年下ということになるが、一体どういう関係なんだろう? 彼女が彼のことをダーリンと呼ぶってことは、彼は彼女の夫だろうか……? うーーーん……?》
 興味が沸々と湧いてきた。
「あっ、じゃあ折角だから、ちょっと寄ってコーヒーでも飲んでいこうか? ね、花織」
 彼はそう言って優しい眼で彼女を見た。
「うん、もちろんダーリンがそうしようって言うなら私に異存はなくってよぅ」
「じゃあ決まりですねっ。さっどうぞー」
 そう言うと俺はドアを開け、二人を中へ招じ入れた。

「沙耶ちゃーん、お客さんだよー。お冷頼むねー、氷たっぷりで!」
「はぁーーい、了解でーすっ」
 俺は、後は沙耶ちゃんに任せて、中へ入ると奥で一旦軍手を外し手を洗って、少し汗も掻いてるので、タオルを水で濡らして顔と首周りを拭いた。
 少しさっぱりしていつものカウンターの中へ入ると、二人はカウンター席に掛けて仲良くアイスコーヒーを飲んでいた。