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茶房 クロッカス その3

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「マスター、おはよー!」
「やあ、沙耶ちゃん、おはよー! 早いねえ」
「そりゃあ幹事ですからねっ」
「えっ? そうなんだ。はははは……」
 いつの間にか沙耶ちゃんは幹事になっていた。
 まぁ確かに、あれこれ段取りをしたのは沙耶ちゃんだから、そうも言えるなぁ。
「あれっ? そう言えば沙耶ちゃんのお母さんは?」
 お母さんの姿が見えないことに気づいて、俺は付近をキョロキョロと見回した。
「あー、それがねマスター。昨日、母のお客さんとこに不幸があって、そのお客さんから夜に電話があったんですよ。保険に入ってくれてるお客さんだから、説明しなきゃいけないこともあるし、どっちにしてもお葬式にも行かなきゃならないしね。そう言うわけだから、とっても楽しみにしてたのに残念だけど、行けないからマスターに宜しく伝えてって母が。ごめんねマスター」
「ふぅーん、そうかぁ。そう言えば沙耶ちゃんのお母さんて、保険の外交の仕事をずっと続けてるんだったね。仕事じゃあしょうがないけど、……でも会いたかったなあ〜」
「あ、でもねっ、私がここで働いてることは話してあるから、もしかしたら近い内に寄るかも知れないって言ってたよ!」
「えっ?  突然来るのかぃ?」
「うん、私がマスターの話したら、面白そうな人ねーって笑ってたから。ふふふっ」
「さ、沙耶ちゃん、一体俺のこと何て言ったんだよー? どうせ変なこと言ったんだろ?!」
「キャハハ……」
 楽しそうに笑う沙耶ちゃんを、俺は思いきり横目でギロッ! と睨んでみたが、沙耶ちゃんには全く何の効果もなかった。《ガクッ》
 その時いきなりけたたましく、何かの音楽が鳴り響いた。
 俺はびっくりして、どこからその音がするのかと顔を巡らせていると、ポップなデザインのリュックから、これまた可愛いデザインが施された携帯を取り出して、沙耶ちゃんが「もしもしぃ〜」と話し始めた。
 なんだ、携帯の着信音だったのか……。