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茶房 クロッカス その3

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 翌日には電車の時間も、沙耶ちゃんが調べてきて決まった。
 当日の朝八時に、この店の前で皆で待ち合わせて駅に行くことになった。
 それから電車で約一時間半でT峡の傍の駅に着くから、着いたらそこから歩きだ。向こうで弁当を食べて、こちらには夕方には帰って来れるだろう。
《そうだ、弁当を用意しなくっちゃなぁ。あっそうだ! みんなの分も含めて夏季さんとこに頼めばいいや。うん、それがいい!》
 俺はそう思いついて早速沙耶ちゃんにそのことを告げると、沙耶ちゃんは夏季さんに電話をし、お弁当の件を頼んだようだった。
 今回の企画、沙耶ちゃんがとっても頑張ってくれた。俺は沙耶ちゃんを少し見直したのだった。
 さぁ、あとは当日を楽しみに待つばかりだ。
 俺はどんどん気持ちが弾んでいくのを感じた。

 待ちかねたその日は快晴で、まさにハイキング日和りだった。
 俺はいつもより少し早目に起きて朝食を済ませると、鏡の前で今日のスタイルをチェックした。
 上は白地にブルーのボーダーTシャツに、下は同じくブルージーンズ。山の中はもしかしたら寒いかも知れないから、上に薄手な生成りのパーカーを羽織って行くことにした。
 トレードマークのバンダナも当然忘れることなく、今日はブルーで統一しておでこにキリリと締めた。

 玄関を出て自転車を引っ張り出すと、颯爽と風を切って走り出した。
 途中でふと、何か忘れ物をしているような気がしたが何かが分からず、ま、いいか……と思い直し、そのまま店に着いた。
 まだ誰も来ていない。時計を見ると七時半だった。
 約束は八時だから誰も来てなくて当然だ。取り敢えず店に入って、用意しておいた『本日臨時休業』のポップを、ドアの外の目立つ所にセロテープで貼りつけた。まぁ一日だけだからこれでも十分もつだろう。
 ちょうど貼り終わった所へ沙耶ちゃんがやってきた。