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茶房 クロッカス その3

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 いよいよランチタイムに入り、本日三番手の花屋の淳ちゃんがやってきた。

 ランチタイムにまずやって来たのは、付近の会社関係で働く人たちで、その後、駅近辺に用事で出掛けて来たらしい人たちが、数人連れだったり、一人っきりだったりして、それぞれ色んな荷物を持って店にやって来た。
 そんな中に花屋の淳ちゃんの姿も混じっていた。
「おぉ、淳ちゃんどうしたんだい? こんな時間に……店は?」
「いやぁ、今、礼子がつわりの真っ最中でさあ、今日は特にひどいみたいで、ご飯作れないって言うから、じゃあたまには悟郎ちゃんの料理でも食べるかなぁーって思ってさっ」
「あ、そういうことか……」
「――ところで礼子さん、お腹の赤ちゃんは順調なのかぃ?」
「あー、もちろん! お陰さまでさっ」
「そうか、そりゃ良かった!」
「うん。で、今日のランチって何?」
「今日はカツカレーセットだけど。それでいいかい?」
「ふーん。旨いのかー?」
「まあな、下手なレトルトよりは旨いと思うぜ!」
 そう言うと俺はにやりと笑った。
 淳ちゃんもつられたようににやりと笑うと、
「よしっ、そのカレーに賭けてみよう!」と言った。
「そんな、賭けるなんて、そりゃあいくらなんでも大袈裟だろうがあー。あっははは」
 俺は、急いで淳ちゃんのカツカレーセットを作って、沙耶ちゃんに渡した。
 俺がやっと一段落ついて淳ちゃんの前に立った時には、もう淳ちゃんは食後のコーヒーを飲んでいた。
「どうだった? 味は?」 と、俺が聞くと、
「ああ、旨かったよ。レトルトよりは……」
 そう言って淳ちゃんはニタリと笑った。
「フフン、でも安いだろ? カツカレーにミニサラダとお好みのドリンクが付いて六百五十円なんだから」
「ああ確かに安いと思うよ。結構ボリュームもあったしさっ。しばらく、礼子のつわりが落ち着くまで、ちょこちょこ来るかも知れないよ」
「おう、任しとけ!」
 淳ちゃんは食べ終わると、礼子さんが待ってるからだろうが、さっさと帰って行った。
《つわりかぁ……。俺は経験ないけど、あったら怖いし……。まあ、大変なのかも知れないけど、順調だって証拠だよなぁ……たぶん》
 そんなことをぼんやり思った。