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茶房 クロッカス その3

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 それから少しすると二番手が京子ちゃんだった。
 沙耶ちゃんが出勤して間もなくだった。
 カウベルがまたもやカラ〜ン コロ〜ンと鳴り、ドアを開けて入って来たのは京子ちゃんだった。
「やぁいらっしゃい! 京子ちゃん。元気してたかぃ?」
「えぇ、悟郎さんありがとう。元気にしてましたよ〜」
 俺は、京子ちゃんの透明感の漂う今日の笑顔に少しだけホッとした。
「あのぅ、もしかして、……京子ちゃんって、高校の時テニス部で後輩だった京子ちゃん?」
 沙耶ちゃんが京子ちゃんの顔をじーっと見ながらいきなりそう言った。
「えっ?!」
 京子ちゃんは沙耶ちゃんを見る。
「――もしかして、……大谷先輩ですかっ?」
「あっ! やっぱりそうかあ、懐かしいわねえ。高校卒業して以来だから二年半ぶりだよねぇ」
「ホントですねっ! まさかこんな所で会えるなんて思ってもみなかったですよ〜」
「ホント、ほんと!」
「マジ嬉しいですぅ。……でも、何でこんな所にいるんですか?」
「ちょっと京子ちゃん、こんな所、こんな所って、一体どんな所さっ!」
「あはは……。ごめんなさい悟郎さん。そんなつもりで言ったんじゃないです」
「あはは……。分かってるよ! ちょっと仲間に入りたかっただけさっ。あはは……」
「もう、マスターったら、ウフフ」
 沙耶ちゃんが呆れたように笑い、
「あのねマスター、私たち高校で同じテニス部だったの。でも一緒にやってたのは一年足らずだったし、あの頃に比べて京子ちゃん、ぐっと大人っぽくなってたから違う人かと思っちゃったわ!」
「私だって先輩は大学に行くって聞いてたから、まさかこんな……あーー、ここで会えるなんて思ってもなかったし、……先輩は相変わらず素敵ですねっ」
「まっ、こんな所でお世辞言ったって何にも出ないわよ!」
「違いますよっ、お世辞なんかじゃないですって」
 沙耶ちゃんと京子ちゃんの会話は弾んでいたけど、俺はランチの準備もあったので途中から裏のキッチンに入り、それとなく二人の会話を聞いていた。