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茶房 クロッカス その3

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 さぁ久しぶりの休みだ。何をして過ごそうか……。やはり、取り合えずは掃除だな。普段は簡単な掃除しかしてないから、細かい所はきっとかなり埃が溜まっているだろう。いつもはなるべく見ないようにしてるからなぁ。
 家に帰り着くと、まず台所から取り掛かった。その後風呂場とトイレを片付け、最後に各部屋に掃除機をかけて、床は拭き掃除もした。
《これだけやれば十分だろう》
 自分自身にOKを出して、さて……と考えた。
 一人じゃどこへ行ったって楽しくなんかないし……。

 ふと思いついて、その昔、優子と一緒に花見に行った公園に行ってみたくなった。今は桜の時期じゃないけど、あの時一緒に寝っ転がった、あの桜の木は今でもあるんだろうか? そう考えると無性に気になってきた。
 俺は急いで支度をすると、また自転車を引っ張り出して、あの公園を目指して走った。
 公園に着くと入口に自転車を停め、歩いて中へ入って行った。
 ゆっくり歩いて周囲を見ながら進んで行くと、奥にあの時の桜の木が待っていた。当時より幹がずいぶん太くなってるような気がした。
《当然だな、あれからもう何年経ったんだ? えーと、そうか、もう二十年以上だもんなあ。俺も年とったけど、こいつも年とったんだなぁ》
 俺は木の根元に腰掛け、その木にもたれて何となく空を見上げた。
 そう言えばあの時も、桜の木の下から空を見上げたんだっけ。
 あの時は、桜の花びらの隙間を縫うように、陽の光が差し込んだんだよなぁ。懐かしいなぁ。
 そんなことを思いながら、いつしか俺は眠っていたようだった。