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茶房 クロッカス その3

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 それから数日後、のんびりタイムを過ごしている時、ふと入口のドアを見ると、その外に誰かが立っているのが見えた。
《うん? 誰だろう。何で入って来ないんだ?》
 そう思った俺は、ドアを開けて外を見ると、何と夏季さんが立っていた。
「あ、夏季さん! 来てくれたんだね。どうして入って来ないの?」
 俺がそう聞くと、
「えぇ、来るには来たんですけど……」と、下を向いている。
「何はともあれ、さぁー、入った入った」
 俺はそう言うと、夏季さんの背中に手を当て、そっと押して店の扉をくぐらせた。
カラ〜ン コロ〜ン
「沙耶ちゃーん、お客さんだよー」と、沙耶ちゃんに声を掛けると、
「あらっ?!」と目を見張って沙耶ちゃんが言った。
「――夏季さんじゃないですか……」 
「あっ、そうか。沙耶ちゃんも夏季さんとこで弁当買ってるんだったねっ」
「そうなんですよ、マスター」
「さあ、夏季さん、よくいらっしゃいましたねっ。こちらへどうぞ!」
 そう言うと、沙耶ちゃんはカウンター席を勧めた。
 夏季さんは、恥ずかしそうに席に着いた。
「コーヒーでいいですか?」と、俺が聞くと、
「えぇ、マスターのお薦めで……」と、彼女は答えた。
 コーヒーができるまでの間、彼女は店の中をキョロキョロと見回していた。
 やっとコーヒーが入って彼女の目の前に置くと、彼女はコーヒーカップを鼻先に持っていって、コーヒーの香りを嗅いでいた。
「うーーん、いい香りだわぁ」 
 彼女のその言葉に俺はにっこり微笑んだ。
 それから彼女は一口飲むと、
「ああ! 美味しいわ〜、マスター」 
 そう言ってにっこり笑った。