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シンデレラ・エクスプレス

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22時少し前、新神戸駅に到着する。
「お疲れさま」
彼の笑顔が私を迎えた。
仕事とその後の3時間近くの移動の疲れなんて、一瞬で飛んでしまった。
ゲンキンだなー私、と思いながら、笑顔が隠せなかった。
「うちの近くに美味しい明石焼の店ができたんだ。着いたばかりで疲れてるだろうから、今夜はそこにしよう」
電車に乗って数駅、彼の家の最寄り駅に着く。
何度も来て、馴染んだつもりの駅前も、しばらくすると少しずつ景色を変える。
「あれ、あのお店は?」
「建て直しだって。今はお休み」
「仮店舗とかないの?あそこのパン楽しみにしてたのに」
「食い意地張り過ぎだよ」
「だって、神戸と言ったらパンとケーキと牛肉じゃない?」
「他にも美味い物あるだろうよ…次来る時には営業してるから、1回ぐらい我慢しろ。明石焼、ここだけど、荷物うちに置いてから来るか?」
「ううん、お店に迷惑にならければ大丈夫。お腹空いた」
ほんっとに食い意地張ってるよな…と呟きながら、彼がお店の扉を開けた。

ビールと明石焼でお腹を満たし、彼の部屋に向かった。
土曜の午前中はゆっくり起きて部屋をふたりで徹底的に掃除した。
と言っても、元々キレイにしているのでそんなに大袈裟なものでもなかったけど。
「じゃ、掃除お疲れさまでケーキ屋行くか」
三宮へ出て、会社の女性社員の方が何人も勧めてくれたというお店に行った。
「美味しい!やっぱり地元の方の情報に限るよね」
甘い物があまり好きではない彼は、コーヒーを飲んでいた。
「喜んでたってみんなに伝えておくよ」
「惚気だと思われるわよ」
「みんな知ってるよ。甘い物が好きじゃない俺が『美味いケーキ屋知らない?』って訊いた時点でおかしいよ」
「ありがとうって伝えておいて」
「あぁ」
バレる可能性が高いのに、ガイドブックやインターネットでごまかしたりしない、彼はそんな人だった。