死者からのメール
早朝のバスターミナルに、理絵花の姿があった。木原を待っていたのは、しかし、笑顔の若い女性ではない。白いワンピース姿の、暗い表情の、思いつめた理絵花だった。
「おはようございます。あなたは木原さんですか?」
「おはようございます。何を云ってるんですか!孝太ですよ。何を怒ってるんですか!」
「わたし、松永理絵花の妹の、綾花です。生前は姉がお世話になったようですね。ありがとうございました。あなたのことは、姉から聞いていました」
木原は思い切り殴られたような衝撃を覚えた。
「……亡くなった?彼女が、亡くなったんですか?」
「はい。亡くなってしまいました……そこに二十四時間営業のお店がありますから、そこで詳しいことを……」
理絵花とそっくりな松永綾花は、ファミリーレストランに向かって歩き始めた。木原はそのあとを追う。理絵花が双子の姉のほうだったことを、彼は初めて知り、二重に驚いていた。
「いつですか?いつ亡くなったんでしょうか」
「昨日の夕方です」
「昨日の夕方、ということは……」
「午後六時過ぎでした。まだ明るいうちのことでした。まだ二十三ですよ。どうして?!どうしてそんな若さで、死ななくてはならないんでしょう」
綾花は泣きながら云った。叩きつけるように、叫ぶように云った。